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ブログ10回目: 社会保障 × 保険の意義〜独立系FPの視点から再考する2025年問題と年金改革〜


こんにちは、独立系FPの萩尾璃香です。
私のモットーは「加齢は華麗!」──人生100年時代をアクティブに過ごすための“お金と保障”の話を、今回は社会保障制度と絡めて考えてみたいと思います。
特に迫りくる2025年問題や年金改革の最新トピックを踏まえ、どのように備えていくかを整理してみました。

1. 社会保障と民間保険は“重なり合う”──独立系FPだからこそ押さえたい背景

案外FPの方でも、このあたりの情報を「自己流で」押さえているケースが多く、知らず知らずのうちにお客様の不安を煽ってしまうことも少なくありません。
私は保険商品の販売手数料ではなく、コンサルティングフィーのみで活動する独立系FPだからこそ、公的保障×民間保険のベストバランスを客観的に提案できる点が強みだと感じています。

日本の社会保障制度(年金・医療保険・介護保険など)は、生存権を支える基盤とはいえ、すべてのリスクを公的にカバーしきれるわけではありません。
• 公的年金: 老後の収入源だが、マクロ経済スライド等により将来的に実質給付が抑制される可能性あり
• 公的医療保険・高額療養費制度: 大きな医療費を大幅軽減できても、差額ベッド代や先進医療費など自己負担が残る部分も
• 介護保険: 要介護度に応じて1〜3割自己負担。今後の制度改正で負担増も懸念


そこで、民間保険(医療保険・がん保険・個人年金保険など)が“上乗せ保障”として機能することで、不足する部分を補う──これが基本の考え方と言えます。

公的制度を正しく理解したうえで、足りないところを民間保険で補うのが大事なポイントですね。

ワンポイント: このブログ記事のデータ元は、厚生労働省や各種調査・公的発表を参考にしています。最後に情報源をまとめていますので、ぜひ活用してみてください。

2. 2025年問題──団塊世代が75歳以上になる衝撃

(1) 医療・介護ニーズの急増と財源不足

2025年には、団塊の世代(1947〜49年生まれ)が一斉に75歳を超え、医療・介護の需要が爆発的に増えると見込まれています。
• 後期高齢者医療の自己負担: 2022年10月から、一定以上の所得がある方は1割→2割へと引き上げが実施済み。
• 今後、財源がさらにひっ迫すれば、自己負担割合の追加引き上げも検討される可能性があると多方面で指摘されています。

(2) 第3号被保険者制度の見直し

長年議論されてきた専業主婦向けの第3号被保険者制度について、厚生労働省は2024年12月時点で「次期年金制度改革では廃止を盛り込まない」方針。しかし、社会保険の適用拡大やパート要件緩和などにより、事実上、第3号被保険者が縮小していく流れは継続中です。

3. 年金改革の最新動向: 実質給付はどうなる?

(1) 受給開始年齢は60〜75歳の選択が可能に

最近「75歳まで年金もらえないの?」と勘違いしている方も見かけますが、そうではありません。60〜75歳の間で選択できるよう範囲が拡大しただけです。
• 繰下げるほど受給額が増額される半面、働く期間や貯蓄の有無が伴わないと、空白期間が生じて生活が苦しくなることも。
• つまり「増額率が高いからイイ!」だけでなく、自分の経済状況や健康状態を吟味するのが重要ですね。

(2) マクロ経済スライドの具体例
• 2024年度の年金額改定: 名目上2.7%引き上げとされていますが、うち0.4%はマクロ経済スライドによる調整分。実質2.3%の上昇にとどまる。
• 物価や賃金が上がっても、年金の追随が抑制される仕組みがあるため、『実質的な給付水準が下がる』と表現されることが多いです。

4. 高齢者世帯の実態: 公的年金はどの程度重要?

厚生労働省「国民生活基礎調査(令和4年)」によれば、高齢者世帯の総所得に占める公的年金・恩給の割合は約62.8%。
調査年度や対象の違いで微妙に前後しますが、いずれにせよ「多くの高齢者世帯が年金を生活の中心にしている」事実は変わりません。

5. 医療・介護の自己負担アップと介護保険改定
• 2022年10月~ 75歳以上の一定所得者は自己負担2割へ引き上げ済み
• 2024年度 介護保険報酬改定: 1.59%の引き上げが検討され、介護従事者の処遇改善を進める一方、保険料や税負担増が懸念される
• 要介護度別の自己負担額は1〜3割ですが、将来的に2〜4割へ拡大を主張する専門家も(公式決定なし)

6. 独立系FPとしての備え──“加齢は華麗!”を実現するために

私は、保険の販売手数料ではなくコンサルティングフィーで活動する独立系FPです。だからこそ、公的保険と民間保険を客観的に見極めながら、以下の点に留意してアドバイスしています。
1. 最新の制度・改正情報をこまめに収集
• 2025年問題、年金改革、介護報酬改定など、公的制度がどう家計に影響するかを分析。
• 公式発表と噂レベルを混同しないよう注意。
2. 公的保障の限界と民間保険の“上乗せ”効果を冷静に伝える
• 年金だけでは老後資金が不足しがちな方には、個人年金保険や貯蓄型保険などを提案。
• 医療・介護の自己負担増に備え、先進医療特約や通院保障を検討する選択肢も。
3. 家計状況やライフプランを徹底ヒアリング
• 一律に「保険を増やしましょう」ではなく、個々の貯蓄・収入・働き方・健康状態を踏まえた最適プランニング。
4. “加齢は華麗!”の前向きな発想
• 長生きリスクをネガティブに捉えるのでなく、せっかくの人生を楽しむための資金・保障づくりとして情報提供。
• 社会保障の仕組みを理解し、自ら未来をデザインする意識づけを促す。


7. 参考データ・情報元
厚生労働省
国民生活基礎調査(令和4年) → 高齢者世帯の年金依存度 62.8%
後期高齢者医療制度・自己負担2割導入(202210月~)
3号被保険者制度見直し情報(202412月時点)
年金改定率(2024年度 2.7%引上げ・マクロ経済スライド0.4%

 介護保険
2024年度介護保険報酬改定(1.59%引上げ)


まとめ──確定情報と見通しを切り分け、長寿時代に柔軟に行動を

団塊世代が75歳以上になる2025年問題をはじめ、年金や医療・介護の制度改革は多数の不確定要素を含みます。しかし、すでに確定した改正(自己負担2割導入など)を見るだけでも、早めに行動する意義は大いにあると感じます。
• 公的年金の“実質給付水準” がさらに抑制される可能性
• 医療・介護の自己負担増 への懸念
• 第3号被保険者制度の将来 や働き方の変化

こうしたテーマとどう向き合うかは、決して「他人事」ではありません。むしろ、“加齢は華麗!” の精神で、年齢を重ねても前向きに学び・備え続けることが重要。
私も独立系FPとして、常に最新情報をアップデートしながら、公的保障+民間保険のバランスを客観的にアドバイスしていきたいと思います。

独立系FP 萩尾璃香
「Go!Go!加齢! 華麗に目指す120歳」


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