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同じ方向を見つめてみる
「仕事とはお互いに見つめ合うことではなく、
一緒に同じ方向を見つめることである」
実は私は読書する時間のないときに、よくスマホアプリを使って聴読しながら犬の散歩をしています。真剣に聞くというよりは、たいてい流し聴き。
気に入っている本を何度も何度も聴きかえすことが多いのですが、
今朝も、冷たい空気の中を散歩中、
「指示待ち部下が自ら考え動き出す!」(大平信孝著 かんき出版)
を聴きながら歩いていました。
すると部下との間に信頼関係を築くポイントの一つとして
「相手そのものではなく相手の興味関心に関心を持つ」ことだ、
という話が聞こえてきたときに、この言葉を思い出したのです。
「よく相手の目を見て話しましょう、聴きましょう、などと言われます。
しかし、そのものに関心を持とうとして相手を覗き込むようにして聴くと
相手はどう感じるでしょうか。相手としては、とても話しにくい状況が
生まれます」
(『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』)
というフレーズが耳に飛び込んできたとき、コーチ脳のスイッチが入りました(笑)
コミュニケーションを取ることで信頼関係を築くことが大切だということは、感じている方は多いでしょうが、
「何を聴くか」ということは「何を話すか」以上に重要になることが
あります。
一方的に話したいことを話してくる上司は、
部下にとってコミュニケーションをとってくれているとは思い難いですし、
かといって部下からしても
仕事上の理由で無理やり自分に興味を持とうと
して、訊いて欲しくない事を訊いてくる上司って、ありがた迷惑です。
それどころか、
仕事上で部下を従わせるための攻略術なのかと思われては、
もう逆効果。
「部下に興味の持てない時は、無理して関心のあるふりをしなくても
いいのです。その代わりに相手そのものではなく相手が話す世界観、
相手の興味、関心に意識を向けてみましょう…
(中略)相手の興味や関心のある事を見つけたら、
その話を徹底的に聞く事です。
すると相手は受け入れてもらえたと感じ、安心して心を開き、
話を聞いてくれた相手を信頼し始めるのです」
(『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』)
ここまで聴いたとき、
私に「愛とはお互いに見つめ合うことではなく、一緒に同じ方向を
見つめることである」(フリードリヒ・ニーチェ)
という言葉を思い出させてくれました。
自分を見透かそうと観察するような視線より、
自分が好きなものに対しての理解、
自分が楽しいと思っていることの承認、
実は同じ趣味があったという気づき、
ちょっとした言動への共感、
その積み重ねが、相手への親しみと信頼につながる。
たいして難しいことではないはずなのですが、
部下を知るべき、理解するべきという気持ちから
ついつい見つめ合おうとしても、
「愛」ですら見つめ合うことではないというのですから
難しくて当たり前。
特に仕事ということになれば、
お互いに見つめあってしまうと、現状分析だけに終始してしまい、
何のために分析を始めたのかを忘れてしまいがちです。
本来の目的は、あるべき未来を一緒に目指す=見つめること。
そして、
「なぜできないのか」
「どうしてミスしたのか」
「どこが悪かったのか」
という見つめ合いでは、
上司が部下に対して上から被せる質問になってしまいます。
「どうしたらできるのか」
「ミスを防ぐには何をするべきか」
「これからも継続するべきポジティブな要素は何なのか」
という方向を一緒に見つめる質問であれば、
お互いに意見を出し合える会話が可能ではないでしょうか?
今日は、散歩中の気づきをくれた、
『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』大平信孝著 かんき出版
から、引用させていただいて書いてみました。
ご興味ありましたら、一度お手に取って読まれてみてくださいね。