身体における水の存在
こんばんは。
愛媛県で理学療法士、スポーツトレーナーとして活動しています宇治村信明(うじむらのぶあき)と申します。
数回に分けて"水分補給"について、お伝えさせていただきます。
■はじめに
現在、全国で猛暑となり"熱中症"を予防するために、水分補給の重要性が訴えられています。
皆さんは、なぜ水分補給をすると熱中症を予防できるのか答えられますでしょうか。
テレビや新聞では、熱中症対策として水分補給の重要性については訴えかけていますが、脱水や水分補給による身体の反応について説明がなされてないのが現状です。またインターネットを通して、水分補給について様々な情報を入手できるものの、その情報が交錯しているようにも見受けられます。
今回、我々人間にとってなぜ水分が必要なのかを知っていただけたらと思います。
■身体内の水の存在
水は人間が生命を保つのに必要不可欠なものです。
人が生理的に必要とする水分の量は、1日約1500mlと言われています。
また人間の身体の中の水分量は、体重の約50〜70%であり、胎児の水分量の割合は約90%と言われています。
一般的に女性の方が男性より体内の水分量は少ないく、これは女性が男性に比べ、水分含有率の低い脂肪組織が皮下に多いためです。
人間の身体の水分(体液)は、細胞内の水分である"細胞内液"と、細胞外の水分である"細胞外液"に分けられます。
成人の場合、細胞内液は体重の約40%、細胞外液は体重の約20%を占めます。細胞外液はさらに細胞と細胞の間を満たす水分(細胞間液)と血管の中にある水分(脈間内液または血漿)に分けられます。
人間の体液調節は、"浸透圧調節系"と"容量調節系"の2つから成り立っています。
①浸透圧調節系
溶質を含まない水分(自由水)の摂取と排泄を行います。細胞外液の浸透圧が変化すると、細胞が縮んだり膨らんだりします(なめくじに塩をかけると縮み、水をかけると膨らむ現象と同じ)。
細胞内外の水分の移動は、浸透圧により駆動されるため、細胞内液量と細胞外液量を一定に保つために調節しています。
浸透圧調節系の主要な受容器は、"脳の視床下部"にあり、バソプレッシンという抗利尿ホルモンが分泌され起こります。
この調節は主に"腎臓"で行われています。また"喉の渇き"も調節行動の1つです。喉の渇きは、体液が減ったときに起こると思われている方が多いと思いますが、実際は体液の浸透圧が上がったことで喉が渇き、飲水行動が起こります。
②容量調節系
主に細胞外液の量を調節しており、体内の"ナトリウム"の量を調節することにより機能しています。
容量調節系の主要な受容器は、"心房(心臓)"にあるため、細胞外液量が減少しなくても心房が伸び縮みすると容量調節系の反応が起こります。
■まとめ
人間の身体における水の存在をお伝えしました。
水分の調節には2つの調節機能があり、その調節機能が低下すると脱水状態に陥ります。
次回は、脱水における身体の反応などについてお伝えさせていただきます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。