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「愛と幻想のファシズム」から30年強、今こそ日本列島を揺さぶる物語を。

どこからか聞こえてくる、読め読めもう一度読み返せ!の声に急き立てられ上下巻1000ページの渦に巻き込まれてしまった、村上龍の「愛と幻想のファシズム」


経済や金融に対する知識がてんでないから、この物語のなかで世界を崩壊させていく「経済」の恐ろしさを半分も理解できていないけれど、その圧倒的で、有無をいわせず突き進んでいく想像力には腰が砕かれます。


1987年のこの作品の前が「テニスボーイの憂鬱」という、テニスとセックスに明け暮れる土地成金の話だし、
その後は「69 sixty nine」という、ハチャメチャ高校生の話だし、村上龍という作家の多才には驚きです。

今、再び、この時代の日本列島の北と南を鷲掴みして激しく揺らすような物語を書いてほしいな。

「カンブリア宮殿」の老眼鏡をかけ滑舌に不安を感じる村上龍しか知らない人たちに村上龍の凄さを力説したい今日このごろです。


さあ、次は「希望の国のエクソダス」を読み返せ、という声が聞こえてくる。

「この国には何でもある。だが、希望だけがない」

2000年に発行されたこの小説のなかの、このセリフが改めて刺さってくる。

ちなみに「エクソダス」とは、国外脱出、大量出国という意味です。


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