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サンタクロースはトイレにいた

11月下旬なみの気温ですという天気予報に誘い出されたのか、トイレの中に2月がいた。


便座に腰を下ろし、足元をみると、見覚えのある豆が目に入った。
節分のときにまいた、炒った大豆がひと粒、転がっていた。
なんで、突然、10ヶ月を経て、いま突然顔を出す?
これまでお前はどこに隠れていたんだ。

ブラックホールはそこらじゅうにある。

洗濯機の後ろから、歯ブラシや水中メガネが出てくることがある、と「大ピンチずかん」にも載っていた。


こうしたブラックホールに気づくのが12月だと、サンタクロースの仕業に結びつけて神秘に感謝する。


ポール・オースターが編集した「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」のなかに「ファミリー・クリスマス」という(普通でない実話)があります。

要約ここから

その家は貧しく、クリスマスといってもツリーは飾れるが、家族でプレゼントを贈りあう、なんて余裕はまったくなかった。
ところがその時のクリスマスの朝、起きてみると、ツリーの下にはプレゼントの山があった。

まず母が包みを開いた。そこには何ヶ月か前に母がなくした古いショールが。

父の包みには柄の壊れた古い斧が。

妹には以前履いていた古いスリッパが。

弟にはつぎの当たったしわくちゃのズボンが。

そして私には、どこかに忘れてきたと思っていた帽子があった。

これらはいったいどこから?誰が?

もうひとりの弟の仕業だった。

彼は何ヶ月もの間、なくなっても騒がれそうにない品をこっそり隠していたのだ。
そしてクリスマスイブの夜、みんなが寝静まってから、包んでツリーの下に置いたのだ。


要約ここまで


となると、10ヶ月ぶりに現れたあの豆は、なにか、あるのか。
と信じよう。


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