きっとわたしは<金のミルク>と呼ばれている
又吉直樹氏が今ほどまだ広く知られる前、居酒屋に行ったら、普段よく行くコンビニの店員たちが楽しく飲み会をやっていました。
又吉氏は、なんとなく知られるのがイヤで目立たないようにしていた。
でも、ひとりと目が合ってしまった。そして言われた。
「あっ!コピーだ!」
そのコトバに反応した他の店員たちも「あっ、本当だ!」
又吉直樹氏は、そのコンビニで台本などを大量にコピーしていたことから、店員の間では「コピー」と呼ばれていた。
(「カキフライが無いなら来なかった」より)
よく見かけるんだけど<その人>の名前は知らない。
でも時に<その人>のことを話題にしなくちゃいけない。
「ほらほら、あの人」だけでは「あの人って誰?」となり、別の人を思い浮かべてしまうかもしれない。
そんなとき必要となるのが、仲間内だけで通じる、符丁のような呼び名。
又吉直樹の場合、それが<コピー>だったんですね。
パクっ。
なんだか微笑ましいエピソードです。
パクっ。
ちょ、待てよ。
こうしてキーボードを叩いているMacBookProの右斜め上にあるものが視界に入って、ちょ、待てよ、と。
もしかしたら自分も、いつものコンビニで密かに呼ばれているかもしれない符丁的なものを、思い浮かべてしまった。
いつものコンビニでそれを買った後、店員たちはこう言っているかもしれない。
「また、金のミルク来たよ」
もしくは
「今日、明治アーモンドチョコレート自転車で来たよ」
口さみしい時、ついパクっ。としてしまう、
【カンロ 金のミルク】と【明治アーモンドチョコレート】
これがね、ウマいんですわ。
お菓子界の両巨塔。不動のトップ2。ワンツーフィニッシュ。
永遠のヘビロテ。それでも太らない。
ただ気をつけてはいます。
太ることでなく、
糖分取りすぎではなく、
いつものコンビニをなるべくいつもじゃなくすることを。
特定のコンビニに通い続けるとそれこそホントに「金のミルクさん」が定着してしまう。エースピッチャーが毎日先発しないように、通うコンビニにもローテーションが必要だ。
昨日ファミマ今日はセブン明日はローソンときどきスギ薬局。
ただそれでも購入はマナカでピッ!だから購入履歴データがおそろしい。
いつか駅の改札でピッ!した時、残額と同時に<金のミルク抹茶味もどうぞ>って出るんじゃないかとビクビクです。
だからときおりトラップを仕掛けることが必要です。
こんな短歌があります。
雑誌「ダ・ヴィンチ」連載の投稿短歌を集めた「短歌ください」シリーズ第三弾「君の抜け殻篇」のなかの一首です。
(*今では短歌界隈で有名な木下龍也さんですね)
いつもクロワッサンばかり買っている僕が寿司を買う。
この短歌の場合、トラップの相手は店員ではなく自分自身です。
おそらく店員を裏切ってやろうという姑息なトラップは簡単に見抜かれてしまい根本的な解決にはならない。
<クロワッサン>と呼んでいる店員たちを正すには、自分自身でさえもその意外性に驚くような裏切りが必要。
というわけで、
パンから一気に<寿司>へと飛躍したのでしょう。
今日わたしがいつものコンビニに仕掛けたトラップは甘すぎた。
「あ、金のミルク来た」と思わせて選んだのが
「Asahi塩バニラキャンディ」
同じカテゴリーじゃないか。これじゃまとめられて<キャンディおやじ>になっちゃう。
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