木道の金額も「遥かな尾瀬〜♪」
【記事の概要】
皆さんは尾瀬と聞いて
何を思い浮かべるだろう?
私は「遙かな尾瀬~」の歌、自然、
そして木道だ。
9月下旬に草紅葉が始まった
尾瀬ヶ原を歩いてきた。
そこで知った木道についての
新たな発見を紹介しよう。
尾瀬は広い
尾瀬が国立公園だと知ってはいたものの、
群馬、栃木、新潟、福島の4県にまたがる
広大な敷地を有するとは知らなかった。
上の地図で説明すると
今回のハイキングは、
(1)→(12)→(4)→(3)→(2)→(1)
の順番で巡った。
鳩待峠から入山し、
富士見峠の手前で下る。
そして尾瀬ヶ原のなかの竜宮へ。
湿原を横切って山ノ鼻へ向かい、
再び鳩待峠に登っていくルートだ。
距離にしておよそ16.5km。
高低差は約632mある。
尾瀬ヶ原を歩くこと自体初めてだったので、
霧が立ちこめるアヤメ平から
竜宮に降り立った時に
秋色の草原が広がる景色は忘れがたい。
秋晴れのもと燧ヶ岳と至仏山が遠くに見たことも
鮮明な記憶として焼き付いている。
木道さまさま
この間、木道には本当に助けられた。
私たちが辿ったルートのうち、
体感だと3/4は木道で舗装されていた。
ぬかるみも急な山道も、
木道のお陰で楽に歩くことができる。
富士山を始め、
いくつかの山に登った経験があるが、
ここまで歩きやすい登山道に
出会ったことはない。
尾瀬が幅広い年齢層から
人気を得ている理由の1つは
足に優しい木道にあると言ってもいい。
一部の木道には
ラバーの滑り止めがついていて、
至れり尽くせりだ。
山行中、踏み込むとシーソーのように
前後に揺れる木道や
ゲームでスーパーマリオが
踏み込むと跳ねるブロックのように
足場がしなるものもあった。
今回歩いたなかでは
尾瀬ヶ原の木道の傷みが
激しかったように感じる。
尾瀬国立公園への入山者数は、
2023年:16万3,499人
2022年:15万4,724人
という統計がある。
(環境省・関東地方環境事務所発表)
雨や雪に吹きさらされるし、
これだけ多くの人が往来すると
すり減ったり、損傷する
木道が出てくるのは当然だ。
ハイキングも終盤になり、
鳩待峠に近づいたところで
木道を修繕している現場を通った。
数人の男性が重そうな資材を
大地に打ち立て、
まだ木の香りも新しい白木の木道を
備え付けてくれていた。
鳩待峠休憩所に無事帰着した際、
国立公園職員の方から
アンケート用紙の入った
茶封筒を受け取った。
下山した直後だったから
アンケートなんて見る余裕もなく、
売店で花豆アイスを買って食べ、
帰りのシャトルバスで寝落ちしそうになった。
落ち着いてから、一緒に歩いた友人が
このアンケートを読み始め
私も一緒に回答を始めたのだが……。
そこには衝撃の問いかけが。
実際の回答画面をご覧いただこう。
木道1mあたり15~20万円!?
そんなに費用がかかっているとは
想像だにしなかった。
自分たちが歩いた距離だけでも概算すると
莫大なお金がかかっている事実に足がすくむ。
16.5km=16500m(山行の総距離)
16500×15万円×3/4=18億5625万円(!)
※上述の通り体感で
ルートの3/4を木道とした。
こんなにお金のかかっている
木道を歩かせてもらったんだ、
とため息が出た。
現在、尾瀬に敷かれた木道は
57kmにも及ぶという。
57000×15万円=85億5000万円(!!!)
の整備費が少なくとも
かかっていることになる。
木道の金額を概算していると
「遙かな尾瀬~遠い空~♪」の
歌が脳内で再生された(笑)
アンケートでは木道について
利用者がどう考えているか
回答する欄もある。
木道を整備する費用を
どのように捻出するかも
大きな課題になっているようだ。
あの木道がなくなってしまったらと思うと、
尾瀬歩きの明るいイメージが
一気にハードモードに変わってしまう。
勝手な願いではあるが、
木道は残っていてほしいなぁ。
リスペクトや配慮が環境保護につながる
「公益財団法人 尾瀬保護財団」によると、
昭和30年以前の尾瀬では
登山者が自由に湿原を歩いていたらしい。
ぬかるんだ湿原は非常に歩きにくく、
木を切って湿原に敷いたのが木道のはじまりとのこと。
湿原を守るために木道整備が進められ、
環境省、群馬県、福島県、東京電力が
それぞれ担当する木道の整備・点検を行い、
尾瀬の自然を守りつつ、
その自然を楽しめるよう取り組んでいる。
尾瀬の自然と整備してくれている方々に
感謝の念を捧げつつ、
また訪れた時も気持ちよくアクティビティできる
場所であってほしいと願っている。
各地でオーバーツーリズムが課題になっているけど、
便利かつ安全にアクティビティを楽しむためには
まず地元の環境や住んでいる方々への
リスペクトや配慮が基盤なんじゃないか。
安く楽しめるのはもちろん嬉しい。
でも、環境や人の暮らしを犠牲にしてまで
アクティビティに固執する姿って、
どこからかやってきて作物を食い尽くす
イナゴの大群みたいで閉口してしまう。
こういうことを主導するのって
行政の役割なのかもしれないけど、
バルセロナの市民デモの一例があるように
利用者であり、市民でもある
自分が意識を持つことも大切だと感じた。
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