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ミニマリストを目指した私の捨てられないムーミン愛
思えば私は小さいころから片付けが苦手な子どもだった。
片づけをしなさい。と言われたら、右から左に物を動かすだけ。
ランドセルやお道具箱の中には、絶えずいつもらったのか分からない手紙がぐちゃぐちゃになって入っていた。
一人暮らしをし始めて、だれも片づけてくれない状況に陥って、ようやく身の回りの整理をし始めたが、整理・収納歴0か月の赤ちゃんにきれいに片づけることなんてできるはずもなく…。
片づけたわりに大して成果は得られないという、なんともやる気をなくす部屋に住んでいた。
そんな私が片付けにハマったのは、ミニマリストという生き方に出合ったから。
何もない部屋で、自由に暮らす。
引っ越しも軽トラ借りて、自分で出来ちゃう!
なんて素敵!これぞ、私の求めていた生活。そう思い立ち、不要なものをバンバン捨てた。捨て始めたら、持っているものの7割はいらないもの、稼働していないものだった。
こうして、ようやく整理収納歴5年の幼稚園児になれた私だが、一つだけどうしても捨てられないものがある。
それがムーミンだ。
私はムーミンが大好きだ。ムーミンだけじゃない。スナフキンも、パパ、ママも、ミイも、モランも大好きだ。いわゆる箱推しというやつに該当する。
キャラクターに恋をするとどうなるか…。
そう。物が増えるのだ。
ミニマリストに憧れたけど、極度のミニマリストにはなり切れず、ミニマリストに憧れる凡人的な立ち位置にいる私にとって、キャラクターものは敵だ。あいつらは爆発的速度で増える。
我が家の娘2人がそろってポケモンにドはまりした時、ピカチュウだのイーブイだのラプラスだのとキャラ物がびっくりするくらいの速度で増えた。
私は恐れおののいた。
私だって、ピカチューが可愛いと思っている。でも、家…とりわけリビングには置きたくない。だって彼らの色が派手なんだもの。(ポケモン好きな方、ホントにごめんなさい。個人的な意見です。)シンプルで落ち着いた空間にしたいのに、原色バリバリの黄色は目に痛すぎる。
そう考えた私はピカチューをそっと蓋つきのかごにしまった。
いてもいい。見えなければ。
くさいものには蓋である。(ピカチューは臭くないけど)
そんな風にキャラ物を敵視している私なのに、ムーミンにはどうしても甘くなる。
まずもってムーミンの色は目にうるさくない。
原色なのはミイくらいで、あとは白、黒、緑だ。うちのインテリアの中に紛れていてもわからない。
そしてあのフォルムもいい。
ぽってりとまるいお腹が癒しをくれる。
北欧の世界観そのままのムーミンの世界は私にとって癒しでしかないのだ。
「ねぇ、ムーミン。こっち向いて♪」時代から好きだった。
平成になり放送された「楽しいムーミン一家」のアニメは毎週楽しみにしていた。
一度だけ学校の自然教室と放送日がかぶってしまい、放送を見れない日があった。
当時、我が家には予約録画機能のついたビデオデッキがなかった。見れないことにマジ泣きし、デッキを買ってくれない親を呪った。
青い鳥文庫から出ているムーミンの本は何度も読んだ。
明るい話もあるが、ムーミンの話は全体的にほの暗い。
それは北欧の長く厳しい冬がそうさせているのだろう。人生とは明るい場面ばかりではない。それでも、彼らは春を喜び、日常のささやかな幸せをその丸いからだいっぱいに表現して生きている。
究極のミニマリストといってもいいスナフキンの生き方も素晴らしい。
誰にも何にもとらわれることなく、自分が大切にしているものだけを手にし、放浪の旅をするスナフキンは私の憧れだ。
決してスナフキンのようには生きることが出来ないけれど、私もスナフキンのように大切なものは何かだけはわかっていたい。
私は彼らのキャラクターとしての愛らしさだけではなく、生き方すべても愛しているのだ。
これまで、いろんな漫画にハマり、それこそ燃え上がるようにキャラクターに恋してきた。
そのたびにグッズも大量に買った。
でも、それらはすべて恋が終わるとゴミになった。
元カレのものは取っておかないことが(心の)今彼への誠意だと思い、惜しげもなく捨てた。
そんなときでも、ムーミンはいつも私の持ち物のどこかにいた。
職場で使うサブバックだったり、手帳だったり、ペンだったり…いる場所はその時々で変わったけれど、私の生活の中にムーミンがいないことはおそらく無かったと思う。
つらく苦しいことが起きた時は、ムーミンの本をそっと開いた。そこには必ず私を励ましたり、傷をいやしてくれたりする言葉があった。
本当の勇気とは自分の弱い心に打ち勝つことだよ。包み隠さず本当のことを正々堂々と言える者こそ本当の勇気のある強い者なんだ。
というスナフキンの言葉は私の生きる指針になっている。
「ハマった沼を語らせて」というテーマを見た時、これまで好きになった芸能人、漫画やアニメのキャラが脳内をすごいスピードで駆け抜けていったけれど、どれもこのテーマには該当しないような気がした。
どの子もみんな大好きだったけれど、記事にできるほどには熱量が足りていなかった。
でも私にもいた。
過去に好きになったキャラクターのようにあっという間にずぶずぶとハマるような沼ではなかったけれど。
私を捕まえて離さないもの。
癒しを与えてくれるもの。
私はこれからもムーミンを愛し続けるだろう。スナフキンのように自分の大切なものを理解し、ママのように家族を愛し、パパのように日々の事をつづり、ミイのように奔放で、ムーミンのように勇気をもって生きることが出来たら、私の人生はとても素晴らしいものになると思うのだ。
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