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連載終了から10年経っても変わらないサギ被害の実態 ~クロサギセレクション~

 2度目のドラマ化に合わせて10月12日に発売された、「クロサギセレクション -詐欺から学ぶ現代社会の基礎知識-」黒丸、(原案)夏原武 (小学館)。

「クロサギ」全42巻から特に、現在でも被害の多い事例を厳選し収録された総集編です。物語の中にサギの仕組みの解説が入るので文字数も多く少し難しい内容ですが、カモ(被害者)、シロサギ(加害者)両方の視点からサギ被害が疑似体験できるのでとてもためになります。

 そして、シロサギがクロサギに逆にだまされて喰われる様は痛快。

 収録されている話は下記の通り。

・振り込め二重詐欺
・就職内定詐欺
・霊感商法詐欺
・デビュー詐欺
・闇サイト詐欺

「クロサギセレクション」目次より引用

 どれも、長年変わらず一般の人たちの身近に潜んでいるサギだと言えます。

 最近「新クロサギ」を1巻から読み返している途中の僕が見て、筆頭に来る話はやはり「振り込め二重詐欺」だったか、と思いました。

 重要なのはこれが「二重詐欺」だというところです。よく言われるのが、一度サギ被害に遭った人は一度だまされて終わりではなく、「だまされやすい良いカモ」としてサギ師側のリストに載ってしまい、その後何度も被害に遭う危険にさらされるということです。

 この話に出てきた被害者も、息子の名をかたるサギ師に一度、振り込めサギの被害に遭った後、再度「心配して連絡してきた息子(これもサギ)」にだまされます。

 そして三度目。サギの被害者を救済している「弁護士」からの連絡を受け、指示された場所に向かいます。この「弁護士」の正体が主人公だったわけですが、弁護士や警察、役所の職員を名乗る相手を無条件に信じてしまうのも危険です。それらの名をかたるサギ被害も実際に多いです。

 そんな話が厳選されて収録されている「クロサギセレクション」。
 「クロサギ」シリーズ 全42巻をまとめて読むのはさすがに大変なので、まずはここから読んでみてはいかがでしょうか。

 僕はドラマを観るかどうかは決めていませんが、企業専門のサギ師、白石の役を山本耕史が演じるのはなかなか面白い人選だと思いました。
(前回のドラマでは極楽とんぼの加藤で、原作のイメージとは別物でした)
 今回も早瀬は女性なのか。


クロサギセレクション