コンカフェは抵抗があるがガールズバーなら行けるか
マニアックな街の今昔
東京に秋葉原があるように、大阪には日本橋という街があります。かつては電子工作やアマチュア無線のマニアが集まる「電気街」であり、日本橋と言えば「でんでんタウン」でしたが、いまや日本橋と言えば「オタロード」です。今も昔もマニアの街には違いないのですが、マニアックの方向性はずいぶん変わりました。そんな街の歴史も秋葉原とまるで同じです。
いまや家電店などほぼ無く、パソコンやモバイル機器を売っていたお店すらアニメグッズのお店にどんどん浸食されています。難波のなんばウォークを抜けてオタロードに入ったとたん、ひしめくように立っている、コスプレ衣装に身を包んだ若い女性たち…。コンカフェ店員です。
あれは恥ずかしい
コンカフェというのは、メイド喫茶から派生して、メイド以外にも特定のコンセプトを持って接客する飲食店の総称だというのは何年か前に報道で見たのでそのように理解しています。このコンセプトの例を挙げようとしたのですが一つも思いつきませんでした。メイド喫茶を含め一度も行ったことがないのでわかりません。
ドラマとかでよく出てくる「美味しくなるおまじない」とか「モエモエきゅんきゅん」とかいうのを「さあ、ご一緒に!」と言われても絶対できません。想像しただけで恐怖を感じます。
そんな感じでコンカフェは敬して遠ざけているのですが、道頓堀沿いの繁華街、宗右衛門町のあたりには、コンカフェのように見えるが実はガールズバーだというお店もけっこうあります。
よって、コンカフェっぽいガールズバーならいけるかもしれないということで、試しに行ってみることにしました。
学校がコンセプト?のガールズバー
そこは学校がコンセプトのガールズバーのようでした。女性たちはそろって、高校の制服を模したシャツとスカート姿でした。高校の制服っぽいように見えて明らかに本物の高校の制服ではないです。
なぜこのお店にしたのか。実は、知人が店員として勤めているからです。それほどよく知っている人ではないのですが。せっかくなのでちゃんと元気にやれているか見に行ってやろうと思いました。親心のように言っていますが行先はガールズバーです。これを自分の心の中でどう整理すれば良いのか。
お店は女性たちが女子高生風の格好をしているだけで、内装はわりと普通のバーでした。ただしバーにしては店内はやけに明るいです。ボーイの男性たちは教師っぽい格好をしているのかと思ったけど普通に定番の黒服でした。まあ、ここはコンカフェではなくガールズバーだということなのでしょう。
初の客でありながら入店時に指名したので、
「○○ちゃんをどこでお知りになりましたか?」
と訊かれ、
「え、まあ、もともとの知り合いというか…。」
と、本当のことながらあいまいに答えていると、よくわかってはいないが納得したようにうなずいて呼びに行ってくれました。宣伝効果があるのは何なのかが知りたくて訊いているのでしょうけど、参考にならない答えで申し訳ない。
二人とも酒は弱くない
お店は1セット何分(このお店は40分)という時間制で、お客は飲み放題メニューにあるドリンクは飲み放題だが、接客してくれる店員の飲み物は一杯あたりの料金でお客が払う、というシステムのようです。それらの料金に別途「サービス料」として30%が課せられるというのがよくわからないのですが、これが夜の街のルールなのでしょう。
この料金体系といい、女性が横に座って接客することといい、バーではなくクラブではないかと思ったのですが、後日調べてみると「ガールズバー」を名乗ってはいるものの実態は風営法届け出済みのキャバクラのようです。届け出済みで合法なら別に文句は無いけど、ホテル型のメンズエステと同様、言葉の定義が二重になっているのは初心者には戸惑います。
そんなわけで知人の女性(以降「Nさん」とします)がボーイに呼ばれて私の隣にやってきました。驚くことに制服はよく似合っており、まだ入店して半月ほどですが既に夜の街のお姉さんらしい雰囲気をまとっていました。楽しくやれているようなので素直に良いことだと思いました。
「こんばんは。来てくれてありがとう。ほんまに来てくれたんやね。」
「そりゃあ来るよ。君こそほんまにおるとはな。」
「そりゃぁおるわ!」
彼女は丈の短いスカートを履いており、やや長身なので長い脚が伸びていたのですが(どうでもいいですが私は長身の女性が好きです)、出てきた姿を見た時になぜか親のような気持ちになってしまったのであまりそういう目で見る気になれませんでした。その点では、もともと知っている人のところに来るべきでなかったかもしれませんし、私が歳を取ったということかも知れません。
というより、「立派に夜の仕事やっているんだ」と安心する親心って何なのでしょう。どこからの視点なのでしょうか。
結局、最初の1セット40分でハイボール一杯だけ飲んで帰るつもりがもう1セット延長した上に、Nさんに乗せられるまま別料金のテキーラを2杯飲むという暴挙に出ました。テキーラはNさんと乾杯して一緒に飲んだので料金は4杯分です。それにしても、目の前の「女子高生」にテキーラを飲ませているというこの背徳的行為を、自分の心の中でどう整理すれば良いのか。(ちなみにNさんは20歳です)
聞くと、Nさんは私の席に着く前にライブ配信の投げ銭でテキーラ一杯を飲み(バーのライブ配信は集まった投げ銭の額に応じて出演者がドリンクを飲んで売り上げ計上するルールらしい)、私の席に着いてからはカクテルを一杯飲んでいました。その後でこのテキーラ2杯…。出勤のたびにこれだけ飲んでいるのだろうか。
「私、お酒弱いから。」
と入店時に言っていたのを思い出し、
「大嘘やないか。」
と苦言を呈すると、
「嘘やないよ。このお店の子らと比べれば全然、弱い方よ。」
と返ってきました。それが宗右衛門町という街なのでしょう。
翌日
ハイボール1杯にテキーラ2杯飲んだのだから、絶対に翌朝は二日酔いだと思ったら、意外にも、むしろ普段よりすっきり目覚められました。なぜ?家で缶ビールとハイボールを飲んだ日は二日酔いするのに。
意外とテキーラは後に残らないのか?そもそもあれは本当にテキーラなのか?いや、飲んだ瞬間の焼けつく感じは確かにテキーラのそれだったように思えました。
なんだかよくわからないけどストレス解消にはなかったのかもしれません。そしてその日以来、思うところあって飲酒はせず、美味しいとも思えないノンアルコールビールやノンアルコール酎ハイ(ただの炭酸飲料のような)を飲んでいます。
Nさんからはハロウィンイベントのお誘いがあったので、もし気が向いて、お財布にも余裕があれば行くかもしれません。