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カラヴァッジョの凄み

「カラヴァッジョ展」に行ってきました。喧嘩っぱやくて、同時代に生きていたら怖くて近寄りたくないカラヴァッジョですが、作品は本当に見事です。

「果物籠を持つ少年」の果物ひとつひとつが放つ瑞々しい輝きはものすごい存在感で圧倒されますし、美術館前の大きな案内パネルにも使われている「バッカス」の持つワインは見ているだけで酔ってきそう、、どの作品も強い引力を感じます。

 ナイフの不法所持、喧嘩した時などの記録の古文書も展示されていて、行動がひどかったことは間違いないのでしょうけれど、絵を見る限り、モノを見る目はすさまじく確かに本質と美をとらえ、人の理解も深かったように思えてしまいます。真の美を感じとる力はあったけれど、カッときてしまうと抑えられない性格だったのでしょうか。
 


 私が一番印象に残ったのは、チケットにも印刷されている「エマオの晩餐」です。国立西洋美術館のホームページを見た時にはやわらかな光と闇が同居するキリストの姿が印象的だったのですが、実際の絵を目の前にした時ひきつけられたのは、キリストを見る二人の男と目を向けもしない女の表情でした。「顔を見るとその人がわかる」とは良く言われることですが、日々の労働、生活の疲れ、人生へのあきらめ、ずるさ、でもまだ何かを信じたい気持ち……がこの絵の中に集う人々の表情ににじみ出ています。そして表情だけでなく、キリストの方に顔は向けていない女も、耳は傾けていて、その人の存在を感じようとしていることが伝わってくるのです。人の様々な面が浮かび上がるようなこの三人の顔の表情と存在感は圧巻で、それぞれの人の声が聞こえてきそうでした。人の奥の奥の底までわかっていないとこういう人物の顔は描けないんじゃないかと感じました。

 この「エマオの晩餐」はカラヴァッジョが殺人を犯して、ローマから逃亡した直後に描いたと言われています。闇と光の対比が印象的なのは、その影響もあるのかもしれません。しかし、これ、けっこう大きい作品なんです。殺人を犯して逃げるという行動とこういう大きい絵を描くエネルギーとが似合わないような気がしてしまうのですが、それがカラヴァッジョなんでしょう。

逃亡中に描き、最後まで手放さなかったという「法悦のマグダラのマリア」も恐ろしいほどの迫力と静けさがあります。

 今回、国立西洋美術館で開催中の「カラヴァッジョ展」では、現存する60点ほどの作品の中からローマ、フィレンツェをはじめとするイタリア各地の美術館や世界中から11点が集められています。こんな機会はなかなかないのではと思います。ご興味ある方は6月12日までに是非!!

注)ここまでは「理恵の全力尽力な毎日」という私のブログからの転載となり、タイトルの内容としてはここまでで全部終了です。
 投げ銭制というのにさせていただこうと思ったのですが、設定がよくわからず、、なので、ここから下は有料エリアの設定をしたのですが、気持ちとしてはここから下は投げ銭してくださった方に向けて、美術に興味がなかった私が、いまは絵画展に行くのが楽しくなったのは、、について付録で書いています。


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