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東京に来て感じた都内の子供達の運動能力について(2)

前回の続きです。


前回は主に運動能力についての内容でしたが、次は「身体操作」と「視野と危機管理」についてです。

【都内の子を指導して感じていること 4.自分の身体をコントロールできない子供達の多さ】

日頃の生活の中でも私たちは無意識のうちに自分の身体と手の位置関係、物との位置関係を瞬時に把握しながら生きていると思います。
そうでないと、段差があったらつまづいてしまうし、物を取ろうとしても届かなかったりしてしまいます。

流石にそこまでの子はいないですが、例えば
・膝をまっすぐ真上に上げてみようと声かけしても、まっすぐ上げられない。
・両足でジャンプしようと言っても、片足ずつジャンプしてしまう。
(小さくスキップしているように、左右の足のジャンプのタイミングがずれてしまうのです。)
・同じ場所でジャンプしようと促しても、徐々にずれてしまう
(そしてそれを行動の中で修正できない)

これが園児や低学年だとまだ見過ごせるのですが、スポーツが好きで選手活動をしていきたいと考えている子供にすら見受けられるのが気になっています。

例えば、テニスにおいて自分の足を出したい場所が5cmズレるということは、あってはならないのです。
もちろん他のスポーツにおいても。

そこの繊細さがなかなか見られないように感じています。
思うがままに動かせる。それが小学生のうちの特権だと思っていたのですが、なかなかそれができる子は少ないと感じています。

【都内の子を指導して感じていること 5.視野の狭さと危機管理能力の低さ】

都内の子のすごく大きな特徴は「視野の狭さと危機管理能力の低さ」にあると思っています。
もっと言うと自分のことを中心に考えている子が多いと感じています。

球にラケットを当てる以前に、人との距離感をうまく掴めない子が本当に本当に多いと思っています。
「本当に」と2回つけたのは、東京に来てから奈良では考えられないほど安全管理に気を使うようになったからです。

園児ですと、テンションが上がってしまってラケットを振り回してしまう子もいるのですが
・打っている子の真横に立つ
・前を横切る
・目の前に人がいるのにボールを打つ

など大声で制止することが本当に多く最初はびっくりしました。

 その他ですと例えば、
・ボールが足元にあっても気づかない。
・ボールを転がす先に他人がいることを確認せずに転がす/投げる/打つ

本当にヒヤヒヤする場面を沢山見てきました。
ボールが足元にあったら、自分の元からなくなれば良い、その結果そのボールが隣のコートにいって誰かの足元にいっても知らん顔です。

どのような状況が危険で、どれぐらいの怪我をするか、人を傷つけてしまうのか想像できない子が多いんじゃないかなと思っています。
幸い、まだ大怪我には至っていないのですが以前よりも強く安全管理を意識するようになりました。

みんな、前に対する意識があるのですが、360°空間を意識して動ける子が本当に少ないと思います。
基本的に前に意識が向くテニスでは確かに養われにくい能力ではあるかと思いますが、だからこそ他の競技や遊びの中で養われていく必要があると思います。

だからこそ東京に来て感じた都内の子供達の運動能力について(1)のように、
テニス以前の運動について指導する場合がよくありました。

【なぜ今回この記事を書いたのか】

これだけたくさん都内の子の運動能力に関して列挙すると、悪いところばかり目についているのでは、と考える人もいるかと思いますし、
もしかしたら今奈良に帰ったら奈良の子たちにも同じような課題があるのではないかとも思っています。

ただ、長年感じてきていたことを公にする理由としては、保護者がこれらを危機と感じていない/危機だと感じてはいるものの、ぼんやりと言葉にできないまま認識している方が多いなと感じたからです。

自分の子供がスポーツ上達しないなあ、、なんだか運動神経が悪いと感じていても、比較する人が分からなかったり、言葉にできなかったりする方がいらっしゃる。
どのように改善して良いか分からない方が多いと相談を受けていて感じています。

スポーツ指導に携わって、且つコーチング、運動指導を専門としている私がまずは現状や課題について書き出し、目に触れてもらうことが現状を変える第一歩かなと思いました。

この記事を読んで、「うちの子そうだ!」と、まず意識してもらうことでも大きな進歩になれば幸いです。

これらの能力は50分や90分のレッスンだけではなかなか改善できないので、やはり自宅や学校での遊びの習慣、運動経験をどれだけ保護者が促せるかが課題です。
特に遊び場が少ない東京では保護者が意識して運動をさせないといけないと思います。

指導者も時代や場所に合わせて自分の知識や方針をアップデートしないと、古典的な運動指導では選ばれ続けないのかもしれないですね。


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