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7年間の会社員生活を辞めて、無職で1年間パリで過ごしてみて。



一部上場企業、業界トップ、総合職。

生まれ落ちてから不景気しか知らない私。
実家も裕福ではない。母はそれこそ必死に兄と私を育ててくれた。
きっとそれも、私が前職の会社に勤めた何かでもあると思う。

側から見れば、そのまま会社に居れば安泰。
増しては、美容業界。キラキラに見える。

辞めた。


私自身、以前までは

「仕事を辞めたら給料がないってことだし、不景気だし、手に職もないし、頭も良くないし、いや、まじでどうすんだよ」

そう思っていた。
楽天家を装っているけれど、内心はとてもビビリだ。


ただ、ビビリだからこそ、貯金はした。
正直激務なこの勤務時間の生活の中で、「お金がないから退職できない」は避けたかったから。


そんなビビリが退職して、無職で過ごしてどうだったか。
(これに関してパリ、日本は関係ないかもしれない、どうだろう)



【社用携帯という重しからの解放】


現場に配属され、約6年半、ずっとiPhone2台持ちの生活だった。
当時は「休みの日も2台持ち歩くの面倒、重い。ウォレットバッグに携帯2台かよ」程度。

ぎっくり腰やってから、重い、に敏感な20代女子。


その社用携帯がなくなって気づいたことは、見えない重しだったんだということ。

それまでは土日も祝日も、まあ電話が鳴った。LINEも届いた。
別にそれらへの対応が嫌だったわけでは無い(そうよ、諦めが肝心)。


返却した途端、解放された。
社用車を返却するよりも、退社の挨拶回りよりも、デスクの整理よりも、「社員じゃなくなる」が1番すっきりした。

朝起きてメールをチェックしなくても良い。
早急に対応しなくてはいけないものも無い。


そして、社用携帯が無い=自分の選んだ人としか繋がっていないことなのだと、今は思う。(もちろん前職で出会った人で、退社後も繋がっている人も多い。)

「○○会社のXXさん」だから付き合ってくれているのではなく、出会いがそれだったとしても「わたし」を好いて付き合いを継続してくれている。(面白半分もあるかもね)

その付き合いに変なプレッシャーも何もない。


たかがiPhone1台で、何かが軽くなった。控えめに言って、最高。



【ムチを打たない生活】


夜中に仕事を終えて帰ってきて、夕飯も食べずにお風呂だけ済まして寝て、6時前に起きて仕事に行く。

仕事を辞めて渡仏してから、私は自分にムチを打っていない。

思えば大学生の時は、ひょんなことから男子ラクロス部のマネージャーになり、負けず嫌いが仇となり、4年間毎朝5時起きでグラウンドに通った。

朝は部活、昼までに片付けて、帰宅して学校に向かい20時まで授業、土日も旅行も無し。文字通り泥だらけの泥臭い黒歴史。

そこから数えると約10年ぶりに、自分の心と身体を甘やかした。


朝は目覚まし時計をかけずに、のんびりと起き、10年ぶりに毎日3食きちんと食べる生活。
フランス語という新たな強敵はいるものの、今年は焦らないと決めた。

もちろんコロナで渡仏1ヶ月後にはロックダウンという大きなストレスはあったし、親族トラブルに介護のため帰国、再渡仏など正直精神的には楽な1年ではなかった。

けれど、日常生活で言えば、THE老後のような生活をした。


今日は天気が良いから、パリ内を散歩しよう。
今日は美術館に行こう。
今日は水曜日だから、お家でのんびりしよう。
今日は何食べようかな。


不必要、且つ自分が嫌なことはしない。
他人のネガティブに振り回されない。
他人のことでイライラすることもない。


多分、表情は柔らかくなった気がする。
ムチを打って戦いに行かなくても良い生活。

まいにち、楽だった。




【肩書きが無い、何も生み出していない自分】


とは言え、半年ほどすると「自分何してるんだろう?」とモヤモヤした何かを感じ始めた。

30歳になる学年。
同期たちは相変わらず仕事に励み、仕事をしていなくても子育てをしている。

対して私は、何もしていない。フランス語の学校は行っているけれど、それが何だ、だし。
パートナーと暮らしているけれど、結婚しているわけでも子どもがいるわけでもない。
実は夏前に介護の関係で2ヶ月半、帰国してまた再渡仏し、母に介護の全てを任せて来ているのに、何も生み出していない自分。
貯金はあるけれど、もちろん増えていないし。

コロナでする予定だったアルバイトもキャンセルになって、バイトすら出来ない自分。


フランス語も大苦戦だし、正直英語も中学生レベルだし。

はあ、何だろう。


そんな漠然とした気持ちの中で、ちょうど友人の結婚の証人でイタリアに1人で行った。
東京で出会った同い年の日本人の彼女は、同じく仕事も辞めての海外生活、国際結婚。

私と違って英語もネイティブな彼女でも、やっぱり何かを感じることはあるようで、彼女たちと1週間イタリアで過ごして、ふとそのモヤモヤも薄くなった。


何がきっかけか、決定打かはわからないけれど、多分開き直ったのかもしれない。


小さい時から自分がブレたことがなかった。
「右向け右」の右に自分の価値観があ流のかを見て納得できなかったら、みんなが右でも左に行く。

多分、気弱になっていたんだと思う。

確かに仕事もない無職、肩書きもない、何も社会の役に立たない存在。
それでもいいや。
逆に何のしがらみや義務もなく、健康体で自由なことを海外で出来る方が、貴重だ。

もちろん今でも仕事に関しては、悩みの種だ。
手に職もないし、コネもないし、ただの大卒だし、経歴もないし、資格も運転免許しかないし、再就職なんてできるのか・・・。

けれど、わからないものはわからないし、決まる時には多分何か決まるし決めなくてはいけない。ご縁、だ。


仕事も介護も自分の今後も、悩みだらけだ。

ただ、今、自分も自分の家族も大切な人も元気。


それで良い。



【結果、仕事辞めて渡仏して良かった】


悩みはある。悩みだらけだ。
これからどうしよう、と考える日もある。

けれど、30歳を前にして「人生の夏休み」をパリで過ごして良かった。

無職になっても大丈夫。
死にはしない。


むしろこのコロナ禍で、テレワークも大して出来ない仕事をして、不特定多数に会わなきゃいけなくて、帰宅して祖父母に万が一コロナを運んだらどうしよう・・・。

こんなストレスを抱えながら1年間を過ごさずに済んで、良かった。
(もちろんコロナ禍だから変な話、仕事忙しくなくても給料もらえるのか、と思ったこともある笑)


1年前は、世の中がこんな状況になるなんて思わなかったし、逆に1年決断が遅かったら渡仏も出来なかった。
結果、オーライ。



別に私は「人生の夏休み」に何かを成し遂げたわけでもない。

本当に長い夏休みを過ごしていただけだ。

でも、こんな夏休み、そうそう取れるものではない。

自分から自分へのご褒美、そしてこれからへの土産みたいなものだ。



「人生の夏休み」、取って良かった。



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