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呪いの言葉の解きかた

コロナで家にいる時、国会中継をまとまった時間見た。ひどかった。出されたものを読むだけ。それすら満足にできない大臣。寝てる人。論理的な話は何もないおじいちゃん。でも大臣。びっくりした。これはギャグなのか?と思った。でも違った。れっきとした国会中継だった。

この国会中継を街頭でパブリックビューイングできるようにした人たちがいて、本も出版されている。その本を読みたかったのだけど、あいにく売り切れていた。私のように、家にいる時間が長くなって国会中継を見て愕然とした人たちが買っているのかもしれない。で、同じ著者の別の本があったので、それを読んでみることにした。

読んでみてまず「この本は優しい」と思った。自分の体験したことや見聞きしたことが、そのまま相手にわかりやすいように書かれている。

本の中ではまず「嫌なら辞めればいい」という呪いの言葉の解きかたから始まっていて、第2章からは労働、ジェンダー、政治をめぐる呪いの言葉についての章があり、そのあとに灯火の言葉、湧き水の言葉と続いていく。

高度プロフェッショナル制度や「#MeToo」、原発事故やデモなどの時事問題に触れつつ、「逃げ恥」「サンドラの週末」などのいろいろなドラマや映画、漫画を通して、呪いの言葉を見つけ、詳しく、丁寧に解いていくこの本。

手にした人には、呪いの言葉から解き放たれて自分の言葉を取り戻してほしい。そんな気持ちが伝わってくる。呪いという言葉連発の本なのだけど、明るくて優しい。そしてここに挙げられたドラマや映画をすぐに見たくなる。そして感想を誰かに話したくなる、そんな本だった。


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