独裁政治とは?
この本の原作は40年あまり前、スペインが民主主義への第一歩を踏み出そうとしていた時代、これからどんな社会をつくっていきたいかを子どもたちに考えてもらおうとつくられた、「あしたのための本シリーズ」のうちの1冊。
最初に訳者の「はじめに」とおわりにコラムが一つついていて、それが日本のこどもたちに向けたメッセージになっている。もちろん、子どもたちだけではなくて、今この世の中をつくっている大人たちにも向けた言葉だ。
見返しにはたくさんの独裁者たちの似顔絵が描かれている。巻末の方に独裁者一覧として国と名前も載っている。聞いたことのある名前もあれば知らない名前もあった。「あしたのための本シリーズ」は4人のイラストレーターが描いているが、その中で唯一独裁の時代を生きた経験のあるミケル・カサルがこの絵を描いている。
独裁者というと血も涙もない極悪人という感じがするけれど、この絵本の中で表現されている独裁者を見ると、あれ?こんな人近くにいるのでは…と思う。
以下、巻末にあるコラムの終わりの言葉が、胸に残る。
「結局、わたしたちがこれから独裁者と対面することがあったとしても、最初は誰でもわかるような「悪人」として登場してくれることはないはずだ。だとすれば、「これが独裁だ!」という常識のあとに必要なのは、「これも独裁かも?」という健全な猜疑心かもしれない」
独裁政治とは 文 プランテルグループ 絵 ミケル・カサル 訳 宇野和美 あかね書房 | 絵本と育児用品のあるお店マール https://gsfr3.app.goo.gl/hxNfAU @BASEec
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