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女性社外取締役のロールモデル効果 ー女性活躍推進中の企業での経験からー
女性社外取締役としての立場から、女性活躍が課題の企業で、女性の社外取締役が果たせる役割について、私自身の経験をもとに考えてみたいと思います。
女性の社外取締役というポジションは、独立した視点から企業の健全な成長をサポートするだけでなく、女性の視点から新しい価値を提供する重要な役割を担っていると言われます。
私自身はそれができるほどの経験や知見、能力があるかというと当初、相当不安でありました。
で、最近になって、ほんの少しだけお役に立っているようなきがしているこの頃です。
ある上場企業のCEOさんが
うちの女性の社外取締役来てもらってるんだけど、業界のことも分かってないし、うちの会社で働いたこともない方だから取締役会での発言が浮いてて……
対処に困ってるんですよね。かと言って他の人も見当たらないし
とおっしゃっていたことがありました。
これを聞いて「うーん、関西人の悲しい性ゆえ、とにかく常に笑いを取りたくなってしまう私、取締役会でも本筋じゃない話をして(ひとりで)盛り上がりすぎて、扱いに困られているのに本人はわかっていない、そんな未来が眼に浮かぶ……」と自分で自分が心配になってしまったほどです。
なので最初のうちは、①あまり余計なことを言わず空気を読むこと! ②みなさんと信頼関係を作る ③アホとバレない(重要) をミッションだと考えていました。
でもそれだと、なんの役にも立っていないわけです。
3ヶ月くらいはそれでいいとして、その後どうするか、真剣に悩んでました。
ロールモデルとしての女性社外取締役
で、結論からいうと、案ずるより産むが易し、だったんですね。
学者としての自分の貢献として、事業承継研究で得た知見を還元することで、長期的な企業の発展に貢献したいと考えていました。
なので、自分でも意識しないうちに、つい
「あ、そのテーマだとこんな本あるんです、ご存知と思いますがご紹介しますね」とか、「経営科学的には〇〇って言われてるんですよ」なんて、ふと口をついて発言していたんです。
と、実業界の方々と、実務家教員とはいえ半分アカデミックに足突っ込んでいる私だと読む本や知識のフィールド、人間関係、得意分野が違うので、
案外興味を持っていただくことが続いたんです。
また、この企業では、女性の活躍推進が課題です。
これは私自身がロールモデルになることができるのではと考えました。
会議室に直行せず、女性社員の皆さんと色んな話をしたり
社内のイベントに参加することから始めました。
女性社員の間で、姜取締役が来ると楽しいってうわさですよ
と言っていただいたことが何度か続いて、お世辞でも嬉しかったです。
一方で女性社員との会話の中で「女性の先輩としていうけど、それは違うと思う」とはっきり言ったこともありました。(それがいいかどうかは別として)
若い方だったのもあってジェネレーションギャップもあったのかな、びっくりするようなことを言うので真顔で注意してしまったんです。
そういうわけで振り返ると反省点も多いのですが
プロパーから女性役員や、管理職が多くなるまでは、社外取の女性がロールモデルを果たすことができると実感としています。
自分の、女性社外取締役としての、今後のビジョン
まだまだ発展途上の私です。
このポジションには高い責任が伴い、深い業界理解や倫理観が欠かせません。
企業の価値向上に真摯に取り組む姿勢が重要であり、
特に女性社外取締役には、独自の視点や意識が求められている難しさがあります。
でもそれがやりがいだとも感じます。
女性活躍には制度の問題もありますが、女性社員の問題もあると私は厳しく考えています。
キャリアへの考え、働くということへの理解、組織と個人の関係性など、女性自身が考えるべき点がたくさんあると思うからです。
これは男性から押し付けられるものでなく、女性の内側から自然発生的に湧き上がる問題意識を持って、理解し学んでいくテーマだと思います。
そうでなければ意味がないですよね。
そんな学びや考えの中で、私のこれまでのキャリアにおける反省、失敗を次の世代の女性たちと共有していきたい。
それによって私もまだまだ成長できると信じます。
今後も女性社外取の独立した視点から、企業の成長に寄与し、女性リーダーの新たな可能性を広げていくことに努めたいと思います。