歯を磨けなかった理由。
おすすめから「歯の健康」に関する投稿が目に入り、ふと、自分のことを思い出したので少し記しておこうと思います。
白血病の治療中に虫歯が増えた。
私は15歳で白血病と診断をされ、抗がん剤治療を受けていました。
治療は約2年ほどありましたが、その際に奥歯の多くが虫歯になりました。
元々、虫歯になることはあったので珍しいことではなかったのですが、数が多かったのと、なにより治療で他に脱毛やら浮腫みやら色々と身体に副作用が出ている中で、歯が悪くなることを想像しきれなかったので「こんなところにも影響が!」となったのを覚えています。
ただ、治療中の生活を振り返れば虫歯になったのはある意味当然でした。
口に歯ブラシを入れられず磨けない。
治療で使用する薬のなかには、副作用として吐き気を催す薬もありました。
私自身、治療薬に対して効果が出やすく概ね順調に治療は進められましたが、その分副作用も出やすく常に吐き気がある日々もありました。その時は、食べ物を食べることができないのはもちろん、薬を服用するために水を飲むことすら数時間かかります。そもそも喉に何かを通す作業が気持ち悪いだけでなく、何かを口に含む行為自体が気持ち悪いため、歯ブラシを口の中に入れること自体ができません。
なので、うがい薬で口内を洗浄したり、一瞬だけ我慢して歯ブラシを口に入れて磨く、みたいな感じで満足する歯磨きができない日々が連続で続きました。
利き手が使えず上手く磨けない。
吐き気ではなく、この「利き手が使えない」というのは直面するまで想像しておらず地味にストレスでした。
入院中は点滴期間も多く、基本的には腕に針を刺すものの、時に手の甲にすることもありました。手の甲に点滴をすると、針が動きやすいので手の平に板を付けてがっちり固定をします。そうすると、その手で何か掴むことができなくなるわけです。ほとんどの場合、手の甲に点滴をするときは「利き手じゃないほう」に点滴をして、利き手が使えるようにすると思います。ここで私に問題が発生します。
元々左利きだったのを矯正していた私は、箸やペンを持つ右手が使えるよう、左手に点滴をしてもらったのですが、歯ブラシを持つ手は「左手」のままだったんです。
右手で歯磨きをすると、頑張って細かな部分も磨きたいのに、手の動きがぎこちなくて全然磨けないんです。磨き残しがあるような感じがするのに、それ以上どう頑張っても綺麗になりませんでした。
磨けない×免疫低下=菌に好都合。
白血病の治療では、白血球を少なくするので免疫力はとても下がります。一度口内炎になったり虫歯になると、治りにくかったり深刻になりやすかったりします。磨けないことで汚れがたまり、そこから炎症や虫歯に繋がっていたんだと思います。
「磨けない」が、いつ起こるかは分からない。
今回記載した内容は白血病治療時の出来事なので、今は満足に磨けていますが、「吐き気で歯が磨けない」や「利き手を怪我してしまい磨きにくい」は、期間の長短はあれど、ふとしたときに誰しもが起こりうることだと思います。その時に歯の健康が損なってしまうのを最小限で抑えるためにも、普段のケアを怠らずにしておきたいなと思うばかりです。