【起業日記⑥】マンハッタンで出会った世界の富裕層(2013-2015)
前回のお話はこちら。
2013年8月、二人の子どもを連れてニューヨークへと引っ越しました。住まいは夫の会社が用意してくれた、マンハッタン北部ウエストチェスターの一軒家です。アメリカ映画によく出てくる、一軒家が立ち並ぶ住宅街。緑に囲まれたその家はなんと、部屋数が10部屋もある、四人家族には大きすぎるほどの豪邸でした。
子供たちの幼稚園への送迎をしながら、エストランセの仕事も続けました。布おむつの在庫がなくなると韓国に出荷指示を出し、サイトの更新をしながら注文が入ると倉庫会社に発送してもらいます。一人リモートワークでしたが、月に100万円ほどの売り上げが上がるようになっていました。
マークザッカーバーグが通った、モンテッソーリ幼稚園
私たちが住んだNYのウエストチェスターは豪邸がひしめく富裕層エリア。何も知らずに住み始めたのですが、生活をするうちにそこが特殊なエリアであることがわかってきました。
まず、息子が通うことになった近所のモンテッソーリ幼稚園。Facebookのマークザッカーバーグが卒業生と聞いて驚きました。そしてさらに驚いたのが学費です。幼稚園なのに年間200万〜300万。うちは夫の会社が全額負担してくれたので入れることができましたが、当然ながら、周りの方は私費で通わせています。中には子供を3~4人通わせているご家庭もありました。幼稚園の学費だけで年間1200万!!!
国際色豊かで、息子のクラスは14か国の子供たちで構成されており、親しくなればなるほど桁違い。飛行機はファーストクラスしか乗らないような人たちでした。
なぜこんなにお金持ちなんだろう。学歴?キャリア?親世代からの遺産?好奇心がむくむくと湧き上がってきました。こんなチャンスは滅多にありません。子供同士を遊ばせたいと、色々な方をお誘いし、片っ端からインタビューを敢行することにしました。
セールは好き、でも浪費はしない。お金に対するポリシーと、ファイナンス教育
英語力は”Hi,how are you?”が話せる程度(笑)の私ですが、小さい頃からピアノを弾いてきたので耳だけは鍛えられています。得意のヒアリングを武器に、あらかじめ用意した質問をぶつけていきました。いつからアメリカにいるのか、なぜリッチなのか。
お誘いした方の半分くらいがユダヤ系の方でした。第二次世界大戦でアメリカに亡命してきたルーツの方もいれば、代々アメリカでリッチなご家族もいました。
親しくなるうちに気づいたのが、彼らのお金に対する考えです。ファーストクラスにしか乗ったことがなくても、セールは大好き。でも無駄遣いは決してせず、ポリシーを持って買い物をしています。また、ユダヤ系の寺院に足を運ぶと、お金やファイナンスにまつわる講座ばかりが開かれていることに驚きます。
日本のお寺でも色々なワークショップや講座が開かれていますが、その内容は書写やヨガ、僧侶の教えなどがメインだと思います。日本ではお金=汚いというイメージで、お金の勉強を寺院でするなど考えられません。ユダヤ人が豊かなのは、お金の勉強をしっかりすることで資産を形成し、守る文化が根付いているからなのだと知りました。日本人も豊かになるために、もっとお金のことを学ばないといけない。そんなことを考えたりしていました。
NYで今まで出会ったことのない人たちに出会い、新しい価値観に触れる中で忘れられない、エストランセの未来を大きく変える出来事が起こりました。それはエストランセの布おむつを使っていただいていた、あるお母さんからのメールでした。
次回へ続く。