今さら聞けない音楽用語【第8回・倍音①】

今日のテーマは「倍音」です。

管楽器や弦楽器をやる方は、ハーモニクス(倍音奏法)があったり、同じポジションで倍音列を出せたり、ということがあるので、身近な話題かもしれません。
また、最近はやたらと「倍音豊かな〜」のようなキャッチフレーズをよく見かけるようになったので、そこで知った方もいるかもしれませんね。流行ってます。

ここでは、倍音を音楽理論的観点から解説します。
何だか難しそうですが、大丈夫!!!

倍音とは

皆さんがよく持っている定番の音楽理論書
「楽典 理論と実習」(音楽之友社)
の冒頭に、音の種類は、

・純音(時報の音、音叉の音など)
・楽音(音楽に用いられる音の大部分)
・噪音(ぶつかる音、皿が割れた音など)

の3種類に分けられることが書いてあります。

これらは振動の状態で分けられていますが、
この音楽で使う楽音の特徴として、倍音を含むということがあります。

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♪♪やってみよう♪♪
上の譜の赤で印をつけた「1 基音」のドをピアノでペダル無しで強く鳴らし、注意深く音を聴いてみましょう。

いかがでしょうか。
実は基音のド以外に、上の譜の2〜16の音が同時に鳴っているのです!聴こえましたか?
この基音を鳴らしたときに含まれる音(上の譜の2~16までの音)を倍音と言います。
そして、上の譜のように倍音を基音に近い順に並べた音列を倍音列と言います。

倍音列の数字が小さいほど大きく鳴りますが、
第2倍音(2と書いてあるド)は1オクターブ上なのでわかりにくく、第3倍音のソが一番聴こえやすいと思います。
そう言われてみれば聴こえてくるかも^^

基音の整数倍の振動数を持つ音が一緒に鳴ることから、「倍音」と呼ばれますが、これがたくさん含まれるほど、豊かな音の質になると言われています。(声も同じく)

一つの音でも、いろんな音が、いろんな色が混ざり合ってできているのですね。
ただ倍音列を並べて弾いてみるだけでもなんだか神秘的な雰囲気があります。今度はペダルを使って味わってみましょう。



倍音列から音階ができている!


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先ほど、倍音は基音の整数倍の振動、と言いました。
楽典の教本見ていて、ここがいつも難しい表現だなぁと思うのでもう少しわかりやすく説明してみます。

例えば基音が100の振動だったら、第2倍音は200、となる。
すなわち、基音のドより、第2倍音のドは2倍振動数がある、ということです。よって1オクターブは、振動数が1:2の比になります。

バイオリンとかギターとか、なにか弦楽器があればぜひやってみたらいいと思いますが、
同じ弦で、例えばドを出すのに20cmの弦が必要だとする、
では1オクターブ上のドを出したかったら半分の10cmの弦があれば良いのです。弦の長さが2分の1になれば、振動数が2倍になります。
理科の問題ですね、、



さぁ、ちょっと話を戻して。

その2倍の振動数の第2倍音は音高は異なるが、音質としては基音に非常に溶け込んでいるので、これを基音と同じ音名にし(等類音)、この幅を1オクターブにしました。

続いて、第3倍音はその次に溶け込む音です。
音程をみると、完全5度。この完全5度が音階を作る重要な音程なのです。


♪♪やってみよう♪♪
ピアノの一番下のドから完全5度ずつ上に音をならして、どんな音(音名)がでてくるか調べてみましょう。


↓解答です

C - G - D - A - E - H - Fis - Cis - Gis - Dis - Ais - Eis(F) - 最後にHis(=異名同音でC)

一度もかぶらずに、オクターブ内全ての12音が出てきます!!
※注
これが音階の基礎になります。
完全5度というのは、オクターブ内の音階の幅を作る超!重要な音程でした。

そういえば、この「楽典やりなおし講座」の第1回の記事で、完全5度がいかに重要か、を書いていました。
https://note.com/rie_matsui/n/ne01bfd0a0ea3?magazine_key=m103b538274e0

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五度圏です。
調も、よくみると調号1つにつき完全5度移動することで、長短12調ずつ、合わせて24調が生まれています。
なんとこんなところに「倍音」はつながっていました!


「倍音」から生まれた音楽の基礎、
まだまだ書き足りないので、続きは来週書きます!
お楽しみに~(^^♪


※注:最後に出てきたHisとCは、ピアノの鍵盤だと異名同音になりますが、純正律だとほんの少し音高に差がでます。これはいつか音律のことを取り上げた時に解説したいと思います。

質問、感想、ご意見、こんなこと取り上げてほしい!などのリクエストありましたらお気軽にコメントください。
なお、ある程度の知識がある方に向けて書いていますので、これじゃついていけない、という方は、ぜひ個別レッスンに!その人にあったレベルで解説します。(対面、オンラインどちらもあり)
レッスンご希望の方はrie3_e_mail@nethome.ne.jpまで。

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