和音に強くなる!④ 【和音の転回形】

2週空きましたが、また続きの記事を書こうと思います。
今日は、和音の基本形、転回形についてです。

基本形、転回形

和音の構成音は、3度ずつ積み重ねてそれぞれ根音、第3音、第5音…と呼ぶ、と言うことを以前書きました。
(その時の記事はこちら→https://note.com/rie_matsui/n/n34e215dac0dc)

この構成音のどの音を最低音にするかで、響きも役割も変わってきます。

根音を最低音にした形を基本形
根音以外の構成音が最低音に配置されている形を転回形と言います。

それぞれの形の例を見てみましょう。

①基本形
根音を最低音にした形

よく、大譜表で上3声の形が転回形になっているけど、これは転回形か基本形か、と迷っている人がいますが、とにかくどんな配置であれ、書いてある音の中の一番低い音が根音であれば基本形です。



②第1転回形
第3音を最低音にした形。「だいいちてんかいけい」と言うのが長くてめんどくさいので、皆「1転」(いってん)と呼びます。


三和音の場合、最低音(第3音)から転回された根音までが6度離れているので、「六の和音」と言い、和音記号の右下に6を書きます。
(例:Ⅰ₆)

七の和音の場合は、最低音(第3音)から第7音が5度、最低音から根音までが6度離れていることから、「五六の和音」と言います。和音記号の右に、下から上に56と重ねて書きます。(上写真参照。)

ちなみに、コードネームで書く時は、
Cメジャー(ドミソ)の第3音Eが最低音、という表記をするには、分数表示で、C /Eになります。縦に重ねても横に重ねてもどちらもアリです。


第2転回形
第5音を最低音にした形。「だいにてんかいけい」と言うのが長くてめんどくさいので、「2転」と呼びます。

三和音の場合、最低音(第5音)から転回された根音までが4度、最低音と第3音が6度離れているので、「四六の和音」と言い、
七の和音の場合は、最低音(第5音)から第7音が3度、最低音から根音までが4度離れているので、「三四の和音」と言います。

④第3転回形
七の和音だと第3転回までできます。第7音が最低音の形です。

最低音(第7音)と根音までが2度離れているので「二の和音」と言います。
2度でぶつかる音が出てくるのが第3転回形の特徴。他との音の幅を表記しなくても、2、と書くだけですぐ3転だとわかるのでこれだけ書けば良いことになっています。六の和音と同様、和音記号右下に数字を書きます。



…というわけで、
「基本形」「第1転回形」「第2転回形」「第3転回形」
「六の和音」「五六の和音」「四六の和音」「三四の和音」「二の和音」
と覚える用語がたくさんで!

受験勉強をしていた頃の私は、なんだこのめんどくさいものは!とここの部分かなり苛立っていました。(基本めんどくさがり)
最初は丸暗記していましたが、使わなくなればすぐ忘れましたし(^^;)

しかし、この「六の和音」「五六の和音」「四六の和音」「三四の和音」「二の和音」という呼び方は、『数字付き低音』の考え方、表記と同じであり、西洋でも通用するので近頃はまた重要視する傾向にあるように感じています。

ここで、数字付き低音を平行して勉強し、実際に自分で弾いて確認しながら進めるのが一番身になると思っているので、
次回の記事でそこを掘り下げていきたいと思います。


転回指数

転回形を上のような書き方ではなく、
「1転」は和音記号の右上に1を
「2転」は和音記号の右上に2を
「3転」は和音記号の右上に3を書く、と習った人も多いと思います。

これは、『和声 理論と実習』(音楽の友社)という、
よく「赤本」と呼ばれるテキストで(1巻が赤い表紙のため)
このように表記して書かれています。

この和音記号の右上に書いた数字を転回指数と言います。

この転回指数を使った独自の表記の良いところは、とにかくわかりやすい!ことです。
数字の数も少なく、シンプルで見た目も考え方も整然としていて、
教えてる側としても、私はとても使いやすいです。


まとめ

和音は、どんな配置になっていても、まずは3度ずつの堆積でできる基本形の構成音を見つけ出し、次にその最低音に何の音が置かれているか、で何転かを見る、という順でいつも見ていきましょう。

表記については、上記の2種類が存在して、使うテキストによって違うのでどちらで書いたらよいですか、とかどちらで教えたらよいですか、と聞かれることがあります。

私も、受験~大学2年までは1転は6、2転は46…の表記、
それ以降は転回指数を書くやり方で、最初は混乱していましたが、
どちらもそれぞれに特色、メリットがあり、どちらも理解して使い分けられるようになりました。
そのきっかけは、和声記号を見て、コードネームを見て、数字付き低音を見て「弾く」ということでした。
以前から何度も書いていますが、和音、和声は実際に音を鳴らしてみる、につきると思います。

どちらが良い、ということは私には言えないので(^^;
こんな書き方もある、ということを知っておくだけでも楽しいですから両方覚えましょう。
ちなみに、私は普段和声記号で書くときは転回指数の方がパッと出てくるので、そちらを使っています。



さて、
次回は、数字付き低音について。
その後、和音の役割について書きます。


やっと少しずつ和声に近づいてきました(^^)

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