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さようなら「あちらの世界」、こんにちは「こちらの世界」~コーチングに出会って変わった世界線~

(いつもはですます調でnoteを書いてますが、今日は気分を変えて、である調にしてみます)

忘れもしない2012年9月のとある日曜日、CTIジャパンのコーチング基礎コースの最終日、私は「こちらの世界」の扉を開いて、足を踏み入れた。

その日の午後は、ずっと涙が溢れて止まらなかった。

その涙が悲しみの涙なのか、戸惑いの涙なのか、喜びの涙なのか、わからず、ただただ、涙が流れる。そんな体験。

「私がずっと見たかった世界、体験したかった世界はこれだ」

その感覚を、10年以上経った今も私は覚えている。私の身体が覚えているのだ。

その時の体験をつづったnoteはこちら⇓

私は、コーチング、いや、コーアクティブ・コーチング®に出会えて本当に良かったと心から思っている。

コーチングという手法だけではなく、コーアクティブ・コーチング®の根底に流れる「人間観」が大好きだ。

でも、それでも、たまに、怖くなることがある。

自分自身がコーチとしてクライアントに接する時や、コーアクティブ・コーチング®を学ぶコースを誰かにお勧めする時などに

一度踏み入れてしまったら、もう後戻りはできないかもしれない。

それでも、

目の前の方が「こちらの世界」に足を踏み入れることに対して、背中を押しても良いのか?

と。

そんな声が頭の中にこだますることがある。

「こちらの世界」を知らないでこの人生を終えることはできる。それだって十分素晴らしい世界だ。

でも、「こちらの世界」を知ってしまった私は、もう、「あちらの世界」しか知らない時の自分には戻れなくなってしまった。

全く後悔はしていないが、「楽」ではなかったここまでの道のり。そして、これからも「楽」ではないかもしれない。

コンフォートゾーンを越えて、自分の怖れと向き合って、自分の本当の願いにつながって、人生を主体的に生きるということは、そう簡単なことではない。

安易に人に勧めてしまって良いのだろうか?

と、ふと頭をよぎることがあるのが正直なところだ。

「あちらの世界」と「こちらの世界」

「あちら」と「こちら」ではっきりと境界線を引けるわけではないのは十分わかっているが、あえて、わかりやすく、このnoteでは、便宜上この2つに分けて話を進めていこうと思う。

それぞれの世界の定義をちゃんとしようと思うと、それだけでnote1本書けてしまうので、この記事ではあえて簡易的に定義しようと思う(これは、コーアクティブ・コーチング®で定義している表現ではなく、あくまでも私個人の中での定義であることを注釈しておく)。

◆あちらの世界
・自分の本音を隠して周囲に合わせてしまう
・自動的に親や他者の期待に応えてしまう
・ありのままの自分ではダメだと思っている

◆こちらの世界
・自分の本音に正直であろうとしている
・親や他者の期待に応えるかどうかは自分で選択している
・ありのままの自分にOKが出せている

33歳だった2012年9月、私は「あちらの世界」に半分以上自分の存在を預けていたと思う。

そんな私が、基礎コースを受講した時に、

「こちらの世界」っていう世界があったんだ!
「こちらの世界」ってこういう感じなんだ!

という事が、わかってしまったのだ。頭ではなく、身体が分かってしまった。

怪しい表現になるかもしれないことへの躊躇がありながらも、あえて、ちょっと言葉を変えて直球の表現するならば、

魂が

「そうそう、これだよ、あなたがずっと求めていた世界はこれだよ。ようやく出会えたね、おめでとう!」

と盛大に祝福してくれたような、そんな感じだった。

魂と身体はわかっていた。

心も8割くらいはわかっていた。

でも、頭がわかってくれなかった。

頭だけが、「こちらの世界」を頑なに否定しようとしていた。

「こちらの世界」についていけない

基礎コースを受けて、パッカーンと「こちらの世界」の扉を開けてしまった私。

そのまま、「応用コース(コアコース)」に進むことを決めたが、「こちらの世界」に完全に身を振り切ることはなかなか難しかった。

応用コースは4種類あり、それぞれ3日間ある。

早い人は、最短で4カ月で走り抜けるこのコースを、2年弱かけて受講していった。

私には時間が必要だった。

そんなにすぐに「こちらの世界」に行けなかった。

頭と身体と心と魂が分裂を起こし、カオス状態を経験した。

コースを受講中は、一旦、完全に「こちらの世界」に私は移行できた。毎回必ず、感動の涙を流していた私。心が震えて、魂レベルで喜びにあふれている私がいた。

「私はどう感じてもいい!」
「ここにいるみんなも何を感じてもいい!」
「ありのままの自分でここに存在していていい!」

それを感じられるコース中は、毎回喜びにあふれていた。「こちらの世界」をたくさん味わっていた。

コース中に「こちらの世界」に移行した私は、コース後の現実の世界に戻るのにかなり時間を要した。

「こちらの世界」の余韻にじっくりひたる間もなく、容赦なく月曜日はやってくる。

・厳しい上司に罵倒される。

・スケジュールとタスクに追われる。

・「結婚はいつするの?」と親に急かされる。

・周囲の友人の結婚報告や出産報告が続く。

否応なしに、私は「あちらの世界」に引き戻される。

3日間かけて「こちらの世界」のエッセンスをたっぷり浴びたのに、住み慣れた「あちらの世界」には誘惑がたくさんある。

でも、「こちらの世界」を知ってしまった私はもう、「あちらの世界」にもなじめなくなりつつある。

頭の中では「あちらの世界」に居た方が安全だよ、楽だよ、っていうささやき声が聞こえるけれども、

身体も魂も心は

「もう無理だよ」

って言ってくるのだ。

さぁ、困った。

これでは、現実世界が回らない。

私は、だましだまし、「あちらの世界」に片足を戻し入れながら、現実世界を進めていく。

コーチングを学んだ仲間やマイコーチと話す時間だけは、「こちらの世界」にドップリ浸かれる。

「こちらの世界」では

「あなたは本当はどうしたいの?」
「本当に大切にしたい価値観は何なの?」
「そのために何を選択するの?」
「そのために、何を手放すの?」

と、否応なしに、「私がどう感じるのか」「私はどうしたいか」を問われる。

最初は楽しくてしかたなかったコーチングの学びが、いつしか、少し苦しくなっていった。

現実の世界と、「こちらの世界」を上手にブレンドできない私。

うまく折り合いがつけられない。

やり過ごせない。

でも「あちらの世界」に後戻りもできない

「こちらの世界」に身体も心も魂も魅了されているのに、完全に移行しきれない私。

でも、「あちらの世界」にも完全に戻りきれない私。

2つの世界の間で揺れ動きながら、なんと、7年が過ぎた。

7年もの間、私は、両方の世界を行ったり来たりしながら、転職、結婚、出産と、現実世界での大きなイベントを経験していった。

でも、今思えば、その間、自分についてずっと探求をしていた。人の心や意識がどうなっているのか?を探求し続けていた。そこへの興味だけは尽きなかった。

私の中にカーナビがあるのならば、目指していた目的地のゴールの旗は、「こちらの世界」に立っていた。間違いなく。

そして2019年8月末、私は、親の大反対を押し切り(というか、親には事後報告で)、当時勤めていた学校法人の職員を退職した。

安定を手放した。

自由と引き換えに自己責任を手に入れた。

その直前の私は、

あちらの世界の成分:5割
こちらの世界の成分:5割

くらいの成分表だったのだが、「もう無理!」と身体と心と魂が悲鳴を上げて、適応障害になってしまった。3カ月の休職期間を経て、退職を決意したのだ。

この時の仕事内容は好きだった。人間関係にも恵まれていた。でも、往復1時間半の通勤と、子育てをしながらのフルタイム勤務に、心身が悲鳴を上げた。

2019年8月末に退職し、10月に個人事業主として独立。

この時に、ようやく、「こちらの世界」に100%身を振り切ることを自分に許可できたように思う。

もう、誰のためでもなく、自分のために、本当にやりたい事をやろう。自分が喜ぶ生き方を主体的に選択しよう。

ようやく、ようやく、そう決めることができた。

・・・いや、ちょっと綺麗に言い過ぎた。

それ以外の選択肢がなかったというのが正直なところだ。もう、何かを我慢しながら、自分の心身を犠牲にしながら働くことができなくなってしまったのだ。

独立はしたものの、ちゃんとした準備もしないままスタートした個人事業主としての私は、なかなか安定しない仕事に、

「やっぱり組織に戻ろう」
「収入確保のために週3回、派遣の仕事をしよう」

と思い、就職活動をしたこともあった。

が、決まらなかった。厳密には、心が躍らなかった。

「あ、もう私は、あちらの世界には戻れないのだ」

それを確信した瞬間だった。

自分がやりたいと思わないこと

に対して、身体も心も魂も、応援してくれなくなったのだ。

頭だけが唯一応援してくれるけれども、現実が応援してくれない。

どんなに頭がやろうとしても、それが現実世界で実現しなくなったしまったのだ。したとしても、長続きしなくなった。

それでも「こちらの世界」を選びますか?

「あちらの世界」にいた方が楽だという気持ちと葛藤をしながらも、もう「あちらの世界には戻れないのだ」と私はようやく降参した。

そうして、ようやく、「こちらの世界」に完全に移行することを自分に許可できた。

2020年に、上級コースというプロコーチを目指すコースに進むことを決意。2021年4月にCPCCという、米国CTI認定のプロコーチ資格と、国際コーチング連盟認定のACCという資格を取得した。

2012年9月に足を踏み入れたコーアクティブ・コーチング®の世界も、気が付いたらもう11年。コーチング累計時間は600時間を越えて、長年目標にしていた国際コーチ連盟の上位資格のPCCも取得した。

個人事業主としても5年目に突入。

「こちらの世界で生きる」

と決意した私だけど、今でも「あちらの世界」にふらっと行ってしまうことがある。

それでも、もう、身体と心と魂は、完全に「こちらの世界」の住民になっているので、

「いつでも戻っておいでね、待ってるよ」

って言ってくれる。

「あちらの世界」に私の帰る港はない。

もう、「あちらの世界」に長期滞在はできない自分になったのだ。

そんな私は、今も

「あなたは本当はどうしたいの?」
「本当に大切にしたい価値観は何なの?」
「そのために何を選択するの?」
「そのために、何を手放すの?」

を自分自身に問い続けて人生を生きている。

周りから見ると、「すごい活躍してるね!」「キラキラしてるね!」「カッコイイね!」という感じに見えるみたいで良くそのようなフィードバックをもらうけど(SNSでの発信がそう見えるのかな)、本人としてはめちゃくちゃ泥臭く生きているのだ。

だって、自分に正直にしか生きれなくなっちゃったのだから。

まだまだ時代は追い付いていないから、自分に正直に生きるって実は大変なこともいっぱいある。

自分に正直に生きていたら、現実世界で回らないこともいっぱいある。

「自分に正直に生きる」というキャリアがまだ浅いから、正直になりすぎて人に誤解を与えたり、「非常識だ」と思われたり、「なんか怪しいところにいっちゃったね」と思われてしまうような言動をしていたりするかもしれない。

「自分に正直に生きる」という振る舞いを、まだ器用にこなせない。

えっちらおっちら、トライアンドエラーを繰り返しながら、「こちらの世界」の経験をよちよち積んでいるところだ。

でも、「こちらの世界」から経験する現実は、悪いことばかりじゃない。

時にとてつもなく厳しく険しい道のりだけれども、大きな愛がある世界だ。

そして、気が付くと、私の周りにいる人達も、「こちらの世界」で生きる人達で溢れている。

自分に正直だし、思いっきり自分の人生を生きているし、もがいているし、自分を大切にしているし、めちゃくちゃカッコイイし大好きだ。

そんな人達と一緒にいると、「生まれてきてよかった」と心から思える。自分のいのちも、他者のいのちも、最大限に祝福できるのだ。

どちらの世界にいてもいいけど、私は「こちらの世界」を選ぶ

「こちらの世界」「あちらの世界」の二元論っぽくなってきて、ちょっと心がざわざわしてるから、補足したい。

ここまで書いてきてなんだけど、私は、どちらの世界にいてもいいと思ってる。

白か黒か、ゼロかヒャクかの世界じゃないから。

どちらが良い悪いじゃない。

どちらが今の自分にフィットするか、ということだから。

どちらの世界にいても、喜びがあるし、学びがあるし、本人がそこにいることを自分で選んでいるのだから。

私だって、今も行ったり来たりする。

でも、そう言いながらも、もう一度生まれるならば、確実に

「こちらの世界」

に生まれたいと思ってる。

大変なこともいっぱいあるけどね。

でもね、それも、きっと、体験したいんだ。

きっと、私は、この世界を体験したかったからコーアクティブ・コーチング®に出会ったのだと思う。

2012年の9月の自分に伝えたい言葉は

「人より時間はかかるかもしれないけど、大丈夫だよ。あなたは自分で住みたい世界を選べるから!」

「2023年12月には、不器用ながらも自分に正直に、ありのままの自分で、周囲の人とも深いつながりを感じながら生きているよ」

って思いっきりエールを送りたい。

時空を超えて、思いは伝わるから。

***

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