心に響くストーリーの魔法 – 広報PRに物語を織り込む力
皆様、ごきげんよう♡
PRプロデューサーのRiEです。
今回は「ストーリー」の重要性についてです。
物語がもたらす感動の力
「物語が生まれる瞬間には、心を動かす魔法が宿る」。
と私は考えています。
ビジネスの場面においてもよく言われるようになりましたが、情報の洪水に溺れがちな現代社会で、人々の心に深く刻まれるのは、単なる事実や数字ではなく、感情の織り交ぜられた物語です。
これを一度経験してしまうと、もう二度とその魔法から逃れることはできません。
人は共感すると、共感した相手(対象のもの)から目を離せなくなりますし、応援したいという気持ちが湧き出るからです。
成功事例:ストーリーでブランドを語る
心に残るストーリーやメッセージ性を出すことで成功したいくつかの事例を挙げてみたいと思います。
ナイキ(NIKE):「Just do it」キャンペーン
ナイキは「Just Do It」というスローガンのもと、単なる製品の宣伝を超えたストーリーを展開しています。
多様なアスリートや一般の人々が困難に立ち向かい、自分を超えていくストーリーを描くことで、スポーツウェアのブランド以上の存在としてのメッセージを発信しています。
特に、2018年にアメフト選手のコリン・キャパニック氏を起用した広告キャンペーンでは、「信念のためにすべてを捧げる」という趣旨のメッセージ ”Believe in something, even if it means sacrificing everything.” が世界的な議論を呼びました。
これは当時、有色人種に対する差別や暴力に抗議するために試合前の国歌斉唱中に起立することをキャパニック選手が拒否したことで、事実上NFLから追放されていることに対するNIKEなりの彼へのサポートとして賛否両論あり大炎上しました。しかし最終的にはブランドの価値を高め、消費者との深いつながりを築くことに成功し、アメリカで最も権威のある広告・マーケティング誌の最優秀マーケティング賞にも選ばれました。
アップル(Apple): 「Think Different」キャンペーン
1997年にアップルがリリースした「Think Different」キャンペーンは、同社の復活を象徴するものでした。
このキャンペーンでは、偉大な発明家や芸術家など、歴史的な人物の姿を用いて「既成概念にとらわれない」精神を表現しました。
スティーブ・ジョブズ自身が「狂った人たちこそが世界を変える」と語ったこのキャンペーンは、単なる製品広告ではなく、「クリエイティビティ」や「革新」というブランドのストーリーを消費者に深く訴えかけ、結果としてアップルのブランドイメージを大きく向上させました。
ダヴ(Dove): 「リアル・ビューティー」キャンペーン
ユニリーバのダヴは、2004年に「リアル・ビューティー」キャンペーンを開始しました。
このキャンペーンでは、一般的な美の基準に疑問を投げかけ、さまざまな体型や年齢、肌の色を持つ女性たちがありのままの姿で美しいとするメッセージを発信しました。
特に「リアル・ビューティー スケッチ」という短編動画では、女性たちが自分をどう見ているかと、他人がその女性をどう見ているかを比較することで、自分自身の価値を再認識させる内容となっています。
このストーリーは世界中で話題となり、多くの女性に共感を与え、ダヴの売上とブランド価値の向上に大きく貢献しました。
もしかすると、この動画は記憶に残っていらっしゃる方もいるかもしれませんね。
これらの事例に共通するのは、単に製品の宣伝にとどまらず、消費者と感情的なつながりを築くことを目的としたストーリーテリングを用いている点です。
それにより、ブランドの信頼性や共感を高め、結果として売上やブランド価値の向上に貢献しています。
ストーリーが「人の心を動かす」ということを証明したPR展開の事例だと思います。事実や数字だけでは伝わらない感情の揺れが、物語の中には潜んでいます。
では、どうすればあなたのビジネスにおいて、効果的なストーリーを紡ぐことができるのでしょうか?まずは、あなた自身やあなたのブランド(事業や製品・サービス)のルーツに目を向けてみてください。そこには必ず、まだ誰にも語られていない物語が隠れているはずです。
広報PRにおけるストーリーテリングの第一歩は、あなた自身がその物語を愛し、信じることだと思います。
心を動かす物語を伝えられるのは、まず自分がその物語に心を動かされているからです。そこから始まる感動の連鎖が、やがて多くの人々の心を繋いでいくのです。
私は、自分の心が動いたお話をされる方の広報PRをしたいと常々思っています。自分がその方に共感し共鳴しなければ、真の意味で広報担当者にはなれないからです。
さあ、あなたの物語を語り始めましょう。
きっとその先に、想像もしていなかった新しい出会いと感動が待っているはずです。