違いの分かる人は、きっといる

わたしは気付ける人でありたい

違いを分かってくれる人はきっといると信じたいから

本番2日前のイベント会場

「シワシワだね」

舞台に大きく貼り出された布にはすっかり1年分の”たたみ”癖

まあ仕方ない、一同は妥協して解散した

だけどあくる日、偶然目撃した

スチームを当てている彼の姿

誰も見ていないところで黙々と少し背伸びをして

そんなかさばるものを自宅から！

奥さんになんて言って持ち出したんだろう

気付いているのはわたしのみ

あれこれ想像を巡らせながらその時は静かに見守っていた

後になって声をかける

「すごいね」

少し照れながらすごいっすよねスチームって、と返されて思わず笑ってしまう

期待しちゃいけないけど、でもやっぱりいる

気付いてくれる人

違いの分かってくれる人

わたしは気付いて、違いが分かってあげられる人になりたい