立ち止まれる大人になりたかった
10月1日は都民の日です
公立の学校は休校。土日と重なる年は恩恵がなく、ブーブー文句を言っていたことを覚えています
上野動物園や葛西臨海水族園など、あらゆる施設が無料公開。まあ、大人になってしまえば仕事があるから関係ないんですけどね
行楽シーズンでこんなにお得な日。だけど記憶を手繰り寄せれば、奉仕活動をしていたことしか出てこない
「赤い羽根の共同募金にご協力をお願いしま〜す」
二子玉川駅前(当時は二子玉川”園”駅だったけど)に佇んで呼びかけをしていました。ガールスカウトに所属しており、活動の一環として行っていたもの。早朝から、あの独特の水色の制服に身を包み、健気さを目一杯アピールしながら通勤に向かう人々に募金を呼びかける。自らも胸に赤い羽根をさして
首から募金箱をぶら下げる係と、協力してくれた人に羽根を渡す係に別れるのですが、わたしは”チャリーン”というお金の音が好きで募金箱係の方が嬉しかった
それにしても打率の低さといったら
回数を重ねるごとに慣れてはいきましたが現実を知りました
改札に吸い込まれていく大人達は、まるで飼い慣らされた家畜のよう。脇目も降らずに一心に、歩くスピードを落とすことはありません
曇った表情にうつむきがちな姿勢
スマホどころか携帯電話もまだ普及していない時代だったのにね
親も一歩外を出ればこんな風になっているのかな
ゆくゆくは自分もこうなるんだろうか
子供ながらに色んなことが怖くなりました
「せーの」と、それでもめげずに小声で合図を取りながら必死に呼びかけるわたし達スカウト。今思うと、なかなか強靭なメンタルです。ふと『家なき子』の名台詞が頭をよぎったことも……
そんな状況ではありましたが、それでもやっぱりいらっしゃるのです
チャリーン
足を止め、協力してくれる方が
嬉しかったなあ
天使に見えました
空っぽの箱に入る時と、ある程度貯まってきた箱に入るのとではお金の音も変わるもんだ
自分たちの呼びかけで集めたお金が誰かのお役に立ちますように
そんなことを思いながら
今なら分かります
朝に電車を1本逃すことの惜しさも、途端に偽善者っぽくなる気がして募金というその行為自体に勇気がいることも
だけど、あの時の切なさをわたしは知っている。それはちょっとした強みかもしれません。街頭で見かければ立ち止まって、チャリーンします
恥じない生き方をしたいものです
休日の早朝から声を張り上げ寄付を募っていた自分に
憧れの街への引っ越し資金とさせていただきます^^