眠れなくなって15年振りにCDを買う
ここ2週間ほど眠れない日々が続いていた
寝付けないだけでなく、やっと入眠しても夜中に覚醒してそのままだったり、起床時間30分前に目が覚めても以前は”もう一眠り”ができたのにそれができなかったり
体力を持て余しているのか
季節の変わり特有の気温差に身体が悲鳴を上げているのか
どちらも要因の一つであるだろうけど、はっきり自覚していた
『Flamingo』のせいだ!
これを見ずしては眠れず、見たら見たでどんどん覚醒していくという悪循環
電子機器との接触は少なくとも入眠1時間前まで、と適度なディスタンスを保っていたのに、ふらふらやってきたフラミンゴはすっかりわたしの中に居座り離れてくれない
お願い眠らせて
デジタルデトックスの意味も込めて15年振りにCDを購入。
米津玄師『STRAY SHEEP』
*
きっかけは『感電』だった
ラジオから流れてくる3分ほどの間、わたしは陶酔していた。この夏この歌を聞かない日はなかったからほぼ毎日だ
じわじわと侵食され、ついに歌詞が気になって仕方なくなり検索したが最後
米津さんのお名前も『パプリカ』も知ってはいたけれど、「けんし」さんとお読みすることをこの時初めて知った
お顔も知らなかった。テレビとは縁のない生活をしているので紅白に出場した時も見ていない。だけど、歌詞に次いで答え合わせをするかのように見たMVで気持ちよく裏切られ、お名前が与える印象と風貌と歌詞のアンバランス感にヤられた
それからはおぼろげなタイトルと歌を一致させていくようにMVをチェックしていった
伸びやかな声
じんわり響くメロディ
日本語が美しい歌詞
ああ、こうやって人々はハマっていくんだ。米津さんの魅力はあげればキリがないけれど、『Flamingo』の”フラミンゴ”ぶりを初めてみた時は、落雷に打たれたような衝撃を受けた。なんといおうか、マイケル・ジャクソンのような唯一無二感。こんな風に身体も動かせるなんて……。天は何物与えたんだろう
その美しい指に、性別を超越した色気に、魂ごと持っていかれる
そして、この到底翻訳しきれないであろう歌詞に、日本に生まれ育ってよかったと思わずにいられない。奥行きのある独特の世界観と美学に引き摺り込まれる
視点によっていかようにも捉えられる気がする。こんな風に聞き手に委ねられるのは、ふわふわ気持ちいい
あるはずの"寂しさ"が最後に消えているのはなぜだろう
一体彼は、何を見てきたのだろう
思考がとまらない
*
だけどお願い、眠らせて
だからわたしは『STRAY SHEEP』を買った。寝る前だけはMVから離れるために
ヒーリングミュージックでは迷える羊は救われそうにない
CDの美しさも、これまた半端じゃなかった