つっけんどんなその子の心の中は?
すぐ文句を言ってキレる子
図工の時間のことです。
「いやだ!」「やらない!」「うるせー!」「くそじじー!」「くそメガネ!」と図工の材料を投げつけて教室から出ようとする子。
はい、くそメガネことリッケンです。
「いやいや、もういい加減にしてよ、キレる要素なんてどこにあるんだよ。がまんしてみんなと一緒にやろうよ」と参ってしまいました。
もし若い頃の私がこの場面に遭遇していたとしたら、「何言ってんだ!授業だから、みんなと一緒にやるのが当然だろ。やれ!」ともっと厳しい言葉を投げかけていたに違いありません。
でも今は、ちょっと立ち止まって考えることができるようになりました。その子の「いやだ!」「やらない!」「逃げる」は、本心なのでしょうか。
ちょっとその子の心の中を覗いてみましょう。
1 その子の本心は?
「いやだ!」「やらない!」「うるせー!」「くそじじー!」「くそメガネ!」「逃げる」と、表に出ている態度や言葉だけを見れば、腹も立ちますし、指導することだらけです。
でも、心の中を覗いてみれば、してあげられることがあるかもしれません。教師として何ができるのでしょうか?
2 じゃあ何ができる?
①道具がないからできないよの対処法
基本は連絡帳に書いたら、貸すんですが、それもままならない子もいます。そこを一律に他の子と同じようにしようとすることが、引き金になって更に不適応を起こすこともあります。
ただ、そのまま何もしないで物を貸すのではなく、「来週は持ってきてね。次はちゃんと連絡帳に書けるといいね」と正しい行動を提示します。こういう布石を何度も打ち、きちんとルール通りに行動できた時には、強くほめて正しい行動が強化されるようにしていきます。
他の子から不平不満が出ることを不安に思われる先生もいらっしゃるかもしれませんが、相手の子は、普段から多くの問題を抱えて飛び出している子です。子どもたちも、相手のこのことをよくわかっていて大抵不満は出ません。
もし不満が出たら、こんなふうに声をかけます。
クラスで共に過ごす子どもたち、悪い所だけでなくよい所もよく知っています。こう伝えると、支えてくれるようになります。
※この成長のハードルの話は1時間の授業として行なっていました。また機会がありましたら記事としてまとめたいと思います。
②不安だよの対処法
やんちゃな子の不適応行動の裏には「不安な気持ち」が隠されていることがよくあります。中学年くらいになると、段々周囲と自分を客観視できるようになってきます。そうなると、小さい頃からやんちゃしてきた分、できない姿を他人に見せるなんてかっこ悪すぎて出来なくなります。結果、文句を言ってやらない、場合によってはその場から逃げ出すという選択をすることになります。
「出来ないこと=かっこ悪い」というのは思い込みですね。
「出来ないこと=かっこ悪い」ではなく、
「出来なくてもチャレンジする=かっこいい」ということを丁寧に伝えていきたいですね。
やんちゃな子の心理については下のnoteに書きました。
出来ないかもしれないという不安に対する処方箋は、「大丈夫」という声掛けです。とにかく、「大丈夫」「君ならできるよ」「やらないなんて言わないでやってみよう」と繰り返し伝えます。
それに付け加えて、本人が「大丈夫出来そう」と実感することが大切です。そのために、「もし困ったらいつでも言ってね。いっしょに考えて手伝うよ。」「だったらこうしてみたら?」とアイデアを出したりしてサポートします。ここで大切なのが、最終的に、選ぶのは本人ということです。「こんな方法もあるし、こんな方法もあるけどどうする?」と本人が選択する余地を作ることが大切です。
私は、ていねいに自己選択の手順を踏まなかったことで、次のような苦い思いを味わうことになりました。
うまく作ることができずに壊れてしまった部分を、「こうしたら直るよ」と善意から直してあげました。すると、その子は、「そうじゃない!お前のせいで壊れたー!」と怒りだし作品を床に投げて踏みつけ、壊してしまったのです。ああ、せっかくここまで作ったのに、悪いことしたなと今でも苦い思い出として残っています。
そう確認すべきだったと後悔しています。
③早く作りたい!の対処法
2①でも書きましたが、普段の様子から、この子の先走った行動に対して、「ずるい」という子はほとんどいません。やり始めてしまうのは、やる気のある証拠です。そこで強い指導をすることにより不適応を起こし、授業に参加できないことの方がデメリットが大きいです。
「最後まで説明が聞けるといいね」と正しい行動を伝えつつ、ある程度目をつぶります。また次回、説明をしっかり聞けた時に、強めにほめて正しい行動を強化していくことの方がよいです。
3 どんな子でも本当は出来るようになりたい
こんな風に対応していくと、みんなと同じペースでというわけにはいきませんが、一緒に作品を完成させることができました。
ボンドが乾き完成したときには、「くそメガネ」ではなく、「先生見て見て、ここの所きれいにくっついたよ!」とうれしそうに教えてくれました。どんな子でも、本当はできるようになりたいと思っているんだなぁと実感した瞬間でした。
に取り組みながら、子どもたち、先生方が少しでも朗らかで穏やかな日々が過ごせますように。
子どもたちを指導するときのちょっとしたコツについてはこれから下のマガジンにまとめていきます。よかったら登録を。
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