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心の声がだだ漏れの子に②


行きつけの地元のバーではお客さんがいっぱいいると、いつもマスターからほって置かれます。あとでマスターから、「リッケン君はさ〜、ほかっといても、知らないお客さんとしゃべってくれるじゃない。だから助かるんだわ〜」と言われました。小さい頃から変わらず、今もおしゃべりなリッケンです。

前回の記事では、おしゃべりが止まらない子どもたちの衝動性について、わたしの小さかった頃の経験を交えて書いてみました。まだ読まれていない方は、こちらの記事を先にお読みください。

要点は以下の3点です。

・衝動なので厳しく注意されようとも止めることはできない。
・長い年月をかけて表出するおしゃべりについてはコントロールできるようになる(頭の中では、相変わらず嵐のように思考が飛び交っています)
・どう集団の中で振る舞うのがよいのか気長に伝えていくことが大切。

はい、よくわかりました。でも、気長に伝えていくってどうやるの?だって四六時中しゃべってるんだよー!なんて声が聞こえてきそうです。

私は、そんな子どもでしたので耳が痛い。今まで担任してくださった先生方、本当にごめんなさい🙇

今日は、心の声がだだ漏れでしゃべりっぱなしの子どもたちを担任する先生方の心が少しでも軽く、そして、そんな子も前向きになれるような方法を考えていきたいと思います。




教師にとっての問題点・子どもにとっての問題点

心の声がだだ漏れの子に対して、普通に対処していくと、注意・指導の雨あられとなります。そんな指導を続けていくと、以下のような問題が表面化していきます。

教師にとっての問題点
・四六時中注意をしなくてはならない
・授業が思い通りに進まない
・思い通りにならず何だかイライラしてくる
・注意するのが面倒になる
・注意せずに放置すると周りの子から文句が出る
・さらに放置すると、周りの子どもたちからの信頼を失う
・その子に嫌われ言葉が届かなくなる
・その子と過ごすことがしんどくなる
・周りの子が教師のマネをしてその子に厳しく当たるようになり学級が殺伐とした雰囲気になる

子どもにとっての問題点
・四六時中注意をされて学級で過ごすのが嫌になる
・注意ばかりしてくる先生のことが嫌いになる
・ますます教師のいうことを聞きたくなくなる
・周りから、注意ばかりされているダメなやつと思われる
・自己肯定感が下がる
・何で自分の話は聞いてもらえないんだと反発心が生まれる

厳しく注意をしても、改善するどころか悪くなるばかり。

そこで今回は、厳しく注意するという方法ではなく、集団の中でどう振る舞っていけばよいか気づかせる方法を6つ紹介します。


①ユーモアで返してみる

あら大変!ちょっと○○くん、脳みそが口から出てますよ。

思い立ったら即行動の子どもたち。授業中の問いに対しても答える場面でなくとも即答します。結果、みんなの考える楽しみを奪ってしまうこともあります。

日常茶飯事すぎて注意すると「また〇〇か〜」と雰囲気も悪くなりがちです。そこで、こんな言葉でユーモアを交えて気づかせるようにしています。


②今は何する時間かな?

しゃべってしまったことを咎めるのではなく、どう行動すべきだったのか気づかせることが重要です。

そこで、本人に問いかけて気づかせます。

T:はい今日の算数は、32ページ、開いてみましょう!
  電車、バス、モノレールが出てきていますね。さてどんな問題な・・・

S:えーとねー、ぼくねー、この前ねーお父さんとね。電車に乗ってー、それから地下鉄に乗ってー、動物園に行ったんだー。その時ね、ゴリラがさ〜

T:〇〇君、今は何する時間かな?

S:・・・・

T:今は、話を聞く時間ね。できる?

S:うん。

T:今日は彫刻刀を使って初めての版画をやっていきます。いきなり作品を作るんじゃなくて、まずは三角刀や丸刀などでどんな線が彫れるのか体験を・・・

S:先生!何彫ってもいいの?ぼく、ドラえもんが彫りたいな〜

T:〇〇君、質問は説明が終わったら聞きます。待てる?

S:うん

こんなやり取りを何度か繰り返すと、「今は何する時間?」「話を聞く時間」、「質問は?」「説明が終わったら」とキーワードで答えてくれるようになります。


③周りの気持ちを想像させる

よくも悪くも正直に気持ちを出す子どもたちです。マイナスの気持ちを公の場で出した時は、それを周りはどう受け取るのかを考えさせます。

T「今日の給食、クリームシチューだって。あったまりそうだね〜」

みんな:うんうん。楽しみ〜

S:うっわ、クリームシチューきのこ入ってるし、終わった。最悪だし。

みんな:・・・

T:〇〇君、きのこ苦手だもんね。わかるよ。でもさ、みんなを見てごらん。楽しみにしている子もいるんだよ。大きな声でみんなの前で誰かが好きなものをけなすのはどうかな?相手は嫌な気持ちになるよ。思っちゃうのはいい。でも、みんなの前で口に出すのはこれからこらえてほしいな。それが、クラスの仲間を大切にするってことだよ。O K?

S:うん

時には、みんなの気持ちを代弁して本人に伝えることも大切です。そうしていくことで、自分の行動が周りからどう映っているのか、客観的に見られるようになっていきます。


④ジェスチャーで気づかせる

いちいち口頭で注意をすると、授業の流れが停滞したり、教室の空気が冷えたりします。そんな時は、ジェスチャーで気づかせるのも手です。

口の前で人差し指を立てて「シー」のポーズ
口の前で人差し指をバツにして「ミッフィー」のポーズ
手のひらを相手に見せて「まあまあ、そのくらいにしておきなさい」のポーズ

こんなジェスチャーをよく使います。「お口」と言ってからミッフィーのポーズで指導していると、子どもも覚えます。「お口」というと、子どもたちが人差し指をバッテンにしてミッフィーポーズをして、何とも可愛らしい反応をしてくれるようになります。



⑤肩をポンポン

肩をポンポンとしてから「声が出ちゃってるよ〜」と伝えます。
大抵、すぐに気づいて口を閉じてくれるので、「すぐに口を閉じられたね」と認めることも忘れずに。

慣れてくれば、声かけをしなくても、ポンポンだけで気づいてくれます。



⑥2人だけの秘密の暗号を決める

「2人だけの秘密の暗号」この言葉の響きは子どもの心をワクワクさせます。
こんな風に話し合って進めていきます。

T:〇〇君、ついついしゃべりすぎちゃう時あるでしょう?先生ね、そういうとき、どうしても、注意しなきゃいけないだけど、みんなの前で〇〇くんを注意したくないんだよ。だからね、これから2人だけの秘密の暗号をつくってこっそり〇〇君に伝えようと思うんだけどどうかな?

S:いいよ!

T:よかった!これから○○君の方を見て耳を触ったら、「おしゃべりしちゃってるよ。しずかにしようね」って意味だよ。できるかな?

S:うん!

初めは、耳を触って知らせてもきょとんとしていますが、「そうだった!」と気づくとうれしそうに口を閉じてくれます。

他には、鼻を触る、メガネを触る、頭をかくなどいろんなサインが考えられます。その子と話し合いながら決めていくのがよいですね。


まとめ

①ユーモアで返してみる
②今は何する時間かな?
③周りの気持ちを想像させる
④ジェスチャーで気づかせる
⑤肩をポンポン
⑥2人だけの秘密の暗号を決める

今回は6つの方法を紹介しました。どれか一つでもよいなと思ったものがあったら試してみてください。

効果が出るまでには時間が掛かりますが、気長に継続して試していただけるとうれしいです。

これは、発達に凸凹のある多くの子を見てきた私の経験則でしかありませんが、多くの子は4年生後半から6年生にかけてグッと成長し、自分をコントロールできるようになっていきます。

その手助けとなるのが、先生方の、集団の中でどう振る舞っていけばよいか気づかせる関わりです。ぜひ、将来の成長を信じて気長に関わってくださったらうれしいです。

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