見出し画像

【ベスト3アルバム】1985年4月〜1986年3月

はじめに

前々回の記事で高校2年生のときに聴いていたアルバムをリストアップしましたが、今回はあのリストの中からベストアルバム3枚を紹介してみようと思います。

「あのリスト」を書いた記事はこちら。

高校2年生のときに聴いたベスト3アルバム

昼ご飯を抜いたお金を貯めてレコードを買うようになってから、「何でこんなの買ったんだろう」というものが増えた一方で、The Dream AcademyLloyd Cole & The CommotionsPrefab Sprout等のネオアコ勢のアルバムを買う機会も増えてきました。これらのアルバムも素晴らしいのですが、今でも聴き返す機会があるくらいにハマった3枚のアルバムはこんな感じです。

1位:Kamakura (サザンオールスターズ)

Kamakura (Released at 14 September 1985)

とにかく1曲1曲のクオリティが凄まじく高い。"Computer Children"で幕を開けると、"悲しみはメリーゴーランド"までの全20曲が、様々な音楽的要素を取り込みつつ、サザンオールスターズらしさを残して、全体として親しみやすいポップミュージックの表情を見せているところが衝撃。

シングル2曲以外にも、サンプリングを取り入れ、時代感を感じさせるジャパニーズデジタルロック"のComputer Children"や"死体置き場でロマンスを"から、今だととてもリリース出来なさそうな「逆空耳アワー」の"Brown Cherry"、さらにはメランコリー爆発の"星空のビリー・ホリディ"まで、振れ幅の大きさはこれまで聴いてきた作品の中でも最大レベル。

個人的クライマックスは、シンプルなギターリフが最高にカッコイイ"怪物くんの空"〜ジャジーな味付けで小粋な雰囲気を出した"Long-haired Lady"〜オリエンタルな雰囲気を纏った"悲しみはメリーゴーランド"のラスト3曲。

高校2年生のベストに留まらず、これまで聴いてきた音楽の中でもトップレベル。「サザンオールスターズはシングルしか聴いたことがない」という人にこそ聞いて欲しい一枚。傑作。

2位:Cupid & Psyche 85 (Scritti Politti)

Cupid & Psyche 85 (Released at 10 June 1985)

正直言うと、Green Gartsideのボーカルはちょっと苦手なものの、意表を突いたデジタルレゲエでスマッシュヒットにもなった"The Word Girl"、細かく刻むシンセサイザーのパンニングと時折挟まれるギターのカッティングがカッコ良い"Small Talk"、頼りないメロディをエッジの立ったシンセサイザーとキレのあるドラムスが支える"Absolute"など、序盤からアイデアが満載。

高校2年生当時ハマったのはB面のアタマ2曲。この2曲はアルバムの中でもポップサイドに大きく踏み込んだもので、特に一番好きだった"Lover to Fall"のメロディラインは派手目のシンセサイザーをストレートに使ったアレンジにも負けない強靱さを持っていて、ここで勢いを付けるとラストの"Hypnotize"まではゴリゴリのデジタルサウンドで強引に完走。

緻密に作り込まれたサウンドに、感情を削ぎ落としたツルンとしたボーカルを絡めたサウンドは好き嫌いはありそうながらもユニーク。特に、当時のシーンで目立っていたピコピコシンセによる「エレクトロポップ」やサンプリングを多用した「サンプルデリア」とは一線を画した内容に仕上がっていて、個人的には80年代のデジタルミュージックの最高峰の一枚。

3位:Please (Pet Shop Boys)

Please (24 March 1986)

プリセットっぽいデジタルサウンドでバックを固めて、気怠いラップを被せた"West End Girls"、タイトなリズムトラックで攻めた"Opportunities"、メランコリックなメロディを湿っぽく仕上げた"Love Comes Quickly"、アナログとデジタルの押し引きを効果的に使った"Suburbia"といったシングル曲では、流行の音を遠慮することなく使い、それでいて下世話さとスマートさの境界を行き来するバランス感覚が絶妙。

上で書いた"Kamakura"や"Cupid & Psyche 85"のように、胸を張って「音楽的な」ベストアルバムと宣言できる作品ではないものの、良質なエレクトロポップが詰まっていて、Howard Jonesのセカンドアルバム"Dream into Action"に感じたガッカリ感をシッカリと埋めてくれた救世主的な一枚。

ちなみに、大学入学時にシンセサイザー(Roland S-50)とシーケンサー(Yamaha QX7)を買って一番最初に打ち込んだのは彼らの"West End Girls"。同じフレーズの繰り返しなので、ステップ入力の練習にピッタリ。プリセット音でそれっぽいリズムトラックを作って、シンセストリングスやヒューマンボイスを手引きで重ねて「West End Girls〜♪」とか部屋で歌ってたっけ。

おわりに

サザンオールスターズScritti Polittiはすぐに決まったのですが、3枚目は悩みました。まだネオアコだった頃のEverything But The Girlの"Love Not Money"とか一皮剥けた感のあるNew Orderの"Low Life"、ちょっと変化球気味にZTTレーベルの3番手Propagandaの"A Secret Wish"あたりと迷ったんですが、個人的にしみったれたメロディが好きなので、最終的にPet Shop Boysを選びました。

Pet Shop Boysは翌年に2ndアルバム"Actually"を発表し、"It's A Sin"や"What Have I Done to Deserve This?"などのビッグヒットを連発して人気を確たるものにして、今に至るという感じです。アルバムも比較的コンスタントにリリースしていて、昨年からNew Orderとのジョイントツアーを行っていたり、最近はNoel Gallagherの新作の収録曲のリミックスを手がけていたりと、まだまだ現役のようです。高校時代に聞いたミュージシャンが約40年経った今も第一線にいるっていうのは嬉しいものです。

次回から何回かに分けて、高校2年生のときの音楽にまつわる出来事を書いていこうと思います。さて、何があったっけな。。。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集