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【音楽遍歴】2003年に聴いていた音楽とベスト3アルバム


はじめに

今回は2003年1月から2003年12月に聴いていた音楽とベストアルバムについて書こうと思います。

この年は前年よりもCDの購入枚数が少し減って、ライブに行く回数が大きく増えました。CDは比較的ビッグネームのリリースが少なく、渋めのリストになっています。ライブもビッグネームは少ないですが、Fuji Rock FestivalとSummer Sonicの両方に参加し、2月に初開催となった冬フェスMagic Rock Out、DovesThe Libertinesの単独公演など13本と中々良い感じのラインナップでした。

今回は、そんな時期に購入したアルバムとベストアルバムについて書いてみたいと思います。

2003年に購入したアルバム

この年はRadioheadが新譜をリリースしたりはしましたが、結構渋めのバンドのアルバムを聴いていたようです。特に、Jet、King of Leon、Yeah Yeah YeahsThe White Stripesなどの、これまで好んでは聴いてこなかったタイプのアルバムも聴き始め、雑食性がより進み始めた時期です。

  1. A.R.E. Weapons(A.R.E. Weapons)

  2. Sleep and Release(Aerogramme)

  3. Do You Imagine Things(Alfie)

  4. Bare(Annie Lennox)

  5. Still Life(Aqualung)

  6. Monday at the Hug & Pint(Arab Strap)

  7. Vehicles & Animals(Athlete)

  8. Gaze(The Beautiful South)

  9. Dear Catastrophe Waitress(Bell & Sebastian)

  10. Charm School(Bishop Allen)

  11. Think Tank(Blur)

  12. The Decline of British Sea Power(British Sea Power)

  13. Underachievers Please Try Harder(Camera Obscura)

  14. Jetstream Lovers(Captain Soul)

  15. Singles 93-03(The Chemical Brothers)

  16. Coldplay Live 2003(Coldplay)

  17. Beneath Medicine Tree(Copeland)

  18. Magic and Medicine(The Coral)

  19. Too Close to See Far(Cosmic Rough Riders)

  20. Fear Yourself(Daniel Johnston)

  21. Paper Monsters(Dave Gahan)

  22. Transatlanticism(Death Cab for Cutie)

  23. Stereodreamscene(Deckard)

  24. Lost Sides(Doves)

  25. Shootenanny! (Eels)

  26. Cast of Thousands(Elbow)

  27. Fire(Electric Six)

  28. The Long Goodbye(The Essex Green)

  29. Man Alive(Eugene Kelly)

  30. Ego Tripping at the Gates of Hall(The Flaming Lips)

  31. Welcome Interstate Managers(Fountains of Wayne)

  32. Sleep / Holiday(Gorky's Zygotic Mynci)

  33. Sumday(Grandaddy)

  34. The Grim Northern Social(The Grim Northern Social)

  35. The Small of Our Own(The Hidden Cameras)

  36. I Am Kloot(I Am Kloot)

  37. Slideling(Ian McCulloch)

  38. Horizon(Jazzrtonik)

  39. Get Born(Jet)

  40. Boomslang(Johnny Marr + The Healers)

  41. Keep on Your Mean Side(The Kills)

  42. Handshake for Bullets(Kinesis)

  43. Youth & Young Manhood(King of Leon)

  44. Lost Horizons(Lemon Jelly)

  45. Mercury(Longview)

  46. The Strangest Things(Longwave)

  47. Loose Fur(Loose Fur)

  48. Welcome to Winners(Lowgold)

  49. Forever Delayed EP(Manic Street Preachers)

  50. Lipstick Traces: A Secret History of(Manic Street Preachers)

  51. De-Loused in the Comatorium(The Mars Volta)

  52. Counterfeit 2(Martin L. Gore)

  53. Frengers(Mew)

  54. Happy Songs for Happy People(Mogwai)

  55. Us(Mull Historical Society)

  56. Absolution(Muse)

  57. North Atlantic Drift(Ocean Colour Scene)

  58. Hey Petrunko Plus(Ooberman)

  59. Heroes and Villains(Paloalto)

  60. Give up(The Postal Service)

  61. I Trawl the Megahertz(Prefab Sprout)

  62. PRML SCRM Live in Japan(Primal Scream)

  63. In Time: The Best of R.E.M. 1988-2003(R.E.M.)

  64. Hail to the Thief(Radiohead)

  65. The Rain Band(The Rain Band)

  66. Echoes(The Rapture)

  67. Unsound Methods(Recoil)

  68. A Heavy Nite with… (Relaxed Muscle)

  69. … Here's Tom with the Weather(Shack)

  70. Chutes Too Narrow(The Shins)

  71. Lovers(The Sleepy Jackson)

  72. With the Tides(South)

  73. Amazing Grace(Spiritualized)

  74. The Complete Works Volume One(Spiritualized)

  75. Keep Going(Stephen Duffy & The Lilac Time)

  76. Pig Lib(Stephen Malkmus & the Jicks)

  77. You Gotta Go There to Come(Stereophonnics)

  78. Room on Fire(The Strokes)

  79. Phantom Power(Super Furry Animals)

  80. So Much for the City(The Thrills)

  81. I Believe(Tim Burgess)

  82. 12 Memories(Travis)

  83. Ether Song(Turin Brakes)

  84. The Runaway Found(The Veils)

  85. Per Second, Per Second, Per Second… Every Second (Wheat)

  86. Elephant(The White Stripes)

  87. Fever to Tell(Yeah Yeah Yeahs)

  88. Mary Star of the Sea(Zwan)

  89. Too Lonely to See(Curve 509)

  90. The Daily Mirror & War Child Hope(Various Artists)

2003年に聴いたベスト3アルバム

100枚近く購入した中から3枚を選ぶのは結構難しいので、軽く何枚かを追加で紹介します。

最初は恐らく2024年現在知っている人は限りなくゼロに近いオーストラリアのバンドThe Sleepy Jacksonの"Lovers"。前半は「良い感じ」を突き抜けられない歯痒さがあるものの、中盤以降のマジカルポップ路線はあらゆる瞬間がハイライト。ベタベタ歌謡曲からギターポップ、カントリーにチャイルドボイスのフィーチャーとシフトチェンジを繰り返しながら、あらゆるメロディを最適化して楽しいポップスへと落とし込むデザインパターンの数が圧倒的です。

British Sea Power(現Sea Power)のデビューアルバム"The Decline of British Sea Power"も2003年のトップ10レベル。幅広いシーンのスナップショットをコンパイルしながら、消化するだけでなく昇華していて、最終的にノイズとカオスの向こう側にある消失点へと落とし込んだ"Lately"には驚愕。バラエティ豊かな曲の中には、Ian Curtisらのポストパンク勢の影と息遣いさえ感じ取れます。

続いてはLemmon Jellyの"Lost Horizons"をピックアップ。サンプルやループのデジタル音をピアノやギターのアコースティック音でバックアップしたアコースティックなダンスミュージック。軽めのブラス系の楽器や小刻みに動き回るオカズ的シンセが優しげな音場を演出し、聴き手のコンテキストに応じてポップス的な楽しさとダンスミュージック的なグルーヴの側面を切り替え得る変幻自在の軟体音楽。

最後はDeath Cab for CutieBenjamin GibbardのソロプロジェクトThe Postal Serviceの"Give up"。パートナーJimmy Tamborelloお得意のエレクトロニカ風アプローチを取り入れた音は、80年代のエレクトロポップを彷彿とさせながらも勝負所ではキッチリ整理された21世紀仕様。雨後のタケノコのように大勢いたアノ時代のバンドが決して鳴らせなかった音をサラリと鳴らした佳作です。

そして、ベスト3アルバムは以下です。

Absolution (Muse)

大きな成長を見せた"Origin of Symmetry"から2年ぶりとなる3rdアルバムは前作登場時のような驚きはなく、1stの質感を感じさせつつも全てのパートの柔軟性と筋力が増強されていて、2ndを経由したからこその正当進化を感じさせる内容です。

シーンに迎合した音を垂れ流すでもなく、シーンを引っ張っていこうという野望もなく、シーンからのノイズを完全にシャットアウトし、全編に渡ってオレ流世界を突き詰める様は見事のひと言。タキシードでバラの花束を抱えて深夜のファミレスでデートするカップルのようなTPO感覚ブチ切れのサウンドは、初期の彼らを単なる"OK Computer"時代のRadioheadフォロワーと見ていた僕のような人を嘲笑う痛快さ。

"Stockholm Syndrome"の時代錯誤的な仰々しさや"Endlessly"の高速歌謡ハードロックぶりも強力で、あらゆるコンテキストから離れた位置から超自然体で繰り出した音のパンチは、自ら退路を断つ危険な賭けと背中合わせになりながら、時代に強烈なカウンターを炸裂する恐ろしく美しい作品です。

… Here's Tom with the Weather (Shack)

80年代初頭のネオアコースティックムーブメントで活躍したThe Pale FountainsMichael Headを中心としたバンドの約4年ぶりの4th。アノ頃と今がワームホールで繋がったかのような錯覚さえ感じるピュアネスとメランコリーを骨格に、時を重ねて手に入れたクセ球のブレンドは懐かしさに留まらないクオリティ。

リードトラック"As Long As I've Got You"では深めのリヴァーヴをかけて立体感を演出し、後半の"Carousel"共々美メロでアルバムの骨格を構築。総じて要求レベルを越える曲が揃っていますが、"The Girl with The Long Brown Hair"はスローな3拍子のリズムに乗せて作られる微妙な音のグラデーションが従来のネオアコ路線とは一線を画すデキで、アルバムのハイライト。後半もカントリー調の"Kilburn High Road"で緩い雰囲気を出しながら、"Happy Ever After"の涼しげな朝のような開放感で締め。

「元The Pale Foundainsの」という「昔の名前で出ています」的な部分は一切なく、アルバム全体を通してアイデアや攻めの姿勢が漲っている佳作で、マスターズリーグのエースではなく、現役バリバリのエース感を見せつける内容。

Us(Mull Historical Society)

スコットランド出身のColin MacIntyreのソロプロジェクトによる2ndは前作と同じく、サウンド、ジャケット、ルックスの全ての構成要素がB級路線ながらも、そのポジションでこそ表現できるラフスケッチをハッとするような瑞々しい感性で表現した内容に仕上がっています。

繰り返し聴くとジワジワと味わいが拡がってくるスルメタイプながら、ときどき微分不可能的に楽曲の輝度が無限大になるようなフレーズやキレ味あるアレンジがあります。先行シングル"The Final Arrears"では可愛らしいメロディとシンプルなバッキングが裏を取り合いつつ、いつの間にか一体になって互いを補完しているというトリッキーな展開を見せたり、"Am I Wrong"や"Can"のリフからブリッジへ向かう強引な展開、"Asylum"や"5 More Minutes"の甘酸っぱい記憶を次々に手繰り出してくるキラーメロディなどアイデアも多彩。

多少キラキラ感というか瑞々しさというか、そうした前作の魅力が後退したのは減点材料ですが、ハチャメチャなパワーはあるのに集中しないと耳に届いてこない繊細な部分があったりと不思議な世界は魅力的。ラストのタイトルトラック"Us"で見せるお得意のキュートさもグッドジョブ。

おわりに

今回は2003年1月〜12月までに購入したアルバムとベスト3アルバムについて書きました。ちなみに、2003年のイギリスの年間アルバムチャートはこんな感じのようです。

  1. Life for Rent(Dido)

  2. Justified(Justin Timberlake)

  3. Stripped(Christina Aguilera)

  4. Gotta Get Thru This(Daniel Bedingfield)

  5. Come Away with Me(Norah Jones)

  6. Permission to Land(The Darkness)

  7. A Rush of Blood to the Head(Coldplay)

  8. Number Ones(Michael Jackson)

  9. Busted(Busted)

  10. In Time: The Best of R.E.M. 1988-2003(R.E.M.)

この年購入したアルバムで年間チャートに入っているのは、10位のR.E.M.、22位のThe White Stripes、28位のStereophonics、46位のThe Thrillsの4枚だけ。オルタナティブを中心に追いかけていると、Radioheadなんてトップ10に入っているんじゃないか、と思ってしまいますが、現実では50位にも入れない状況。

年間チャートなので、一般にウケる普遍的なポップスやロックが上位に来るのは当然で、そう考えるとR.E.M.の10位はベストアルバムとは言え、大健闘な気がします。ちなみに、シングルの年間チャートを眺めてみたら、6位にt.A.T.u.の"All the Things She Said"が入っていました。まあ、そんな時代だった訳です。

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