【事故物件の日記】#3
#３
『初めての撮影と初めての心霊現象』
事故物件と分かってもお金がなくて引っ越せない。
ならばこれも動画に…
芸人、YouTuberとしての決意は固まった。
登録者一万人行く頃には引っ越せる…
それを目標に。
相方が引っ越せるまで俺もここに通って付き合おう。そう決めた。
通うの片道２時間掛かるけど、まぁ仕方ない。
しかし最初の頃撮った動画、実は２人ともあまり覚えていない。
この頃のリッチドッグchannelは曜日レギュラー制を取っていて、毎日違う企画の動画を公開していた。
なのでたくさんある企画の中の１つだったし、２人とも心霊の知識はないし、正直何も撮れないだろうと思っていた。
心霊の知識が全くない我々は
一体どんな動画を撮ればいいのかもわからず、
とりあえずテレビでよく見るカメラを仕掛けるやつをやってみた。
他にも
【事故物件なら簡単に心霊写真撮れるチャレンジ】
【畳の裏をひっくり返して見る】
【家の色々な所に日本酒を置く】
【家の色々な所でお線香をたく】
心霊とは全く縁のない我々で、
たしかに２人とも人生の中で不思議な経験をしたことはある。
でも事故物件と言えど、最初は２人とも半信半疑だった。
ところがこの家で撮影すると、
いないはずの人の声が入る。
オーブが写る。
影が写る。
あり得ない角度に影が伸びる。
お線香の煙もバラバラに登る。。。
最初の頃、リッチドッグが一番ビビったのは
いないはずの人の声が入ることと、
押し入れが勝手に開いていたこと。
影は正直カメラの不調や窓に外から何か光が入ったのかも知れない。
電気やドライヤーが勝手についたり消えたりも、電気系の故障ならあり得なくもない。
実際この事故物件は、引っ越して１週間で風呂や玄関の蛍光灯が次々切れたりと、あまり整備はされていなかった。
もちろんオーブもホコリかもしれない。
しかし撮った動画に、シッカリと室内で、いないはずの人の声が入っているのは、説明しようがないのは自分達が一番分かっている。
何が怖いかって、その動画の撮影中、現場では何の声も聞こえていない。
隣人の声なら我々も現場で聞いているはず。
(ちなみに両隣は空室)
現場では何の声もしていなかったのに、あとで映像を確認すると女の人の声が入っていた。
そして押し入れ。
押し入れが開くなんて思ってもいなかった我々は、長時間の定点撮影の中でその部分を 見逃していた。
後日コメントで視聴者さんが教えてくれて、残っていた映像を確認したら…
この時はゾッとしたし、もう引っ越した方がいいと言うコメントもたくさん頂いた。
しかし引っ越さないんじゃなく、お金がなくて引っ越せない。
そしてこの辺りから
『この家には何かがいてる』と確信するようになった。
そしてこの頃までは、他の心霊YouTuberさん達と同じ【怖い動画】だった。
しかしずっと芸人をやってきた宮本は知っている。
感動させる、怖がらせる、より
人を笑わせることが一番難しいことを。
面白いは基準が人それぞれ千差万別。
ましてや【芸人】とみんなが知ってる状態で笑いを取るのは予告ホームランと同じ。
『取りに行きますよ』と予告した上で
本当に取らないといけない。
でも自分が芸人になったのは
【人を笑わせるため･元気のない人が少しでも明るくなって欲しいから】
それは視聴者さんに対しても、
そしてもし本当に幽霊さんがいるならば
幽霊さんに対しても同じ。
そんな宮本が企画構成から監督、演出まで考えているのがリッチドッグchannel。
だから
【怖い】より【見てる人も幽霊も楽しめることを…】と考え出した。
そしてこの次から心霊動画なのに
【笑った】のコメントが溢れることになる。
全く怖くない唯一無二の心霊チャンネルの誕生になる。
リッチドッグ 宮本
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