第19話 天国と地獄
「天国と地獄は、実は同じ場所なんだ。同じ光景を見ていても、ある人々には地獄として映り、別の人々には天国として映る」
それが、李さんの親戚のその彼の信条。これは、その彼が体験した話。
全てを失った、あの頃。目の前に広がる荒野とその上に散りばめられた瓦礫の数々。明日の食料も、収入を得られる手段もなかった。あの瞬間、彼の目に映っていた光景は、地獄。
日本に来た彼の家族、日本で生まれた彼。名前を変え、日本人として生き続けた彼らの家族。戦争が始まり、ラジオ放送は日本の勝利のニュースば