女の子は、闘う


女の子の呪い

「将来はきっと美人さんになるね〜」
「女の子にはピアノさせたかったの!」
「女の子なんだから足は閉じなさい!」
「女の子なのに野球なんてさせられない」
「女の子は工業系の高校はだめ」

3人兄妹の私は幼い頃から周りの大人たちに
「女の子」として教育されてきました。
おかげさまでガサツな中身はうまく隠せるし
料理もできて仕事もできるけど
男性の後ろを歩くことに抵抗がないし
「男の人を立てるのが上手いよね」
と女友達からも言われます。
本当に女の子としては感謝しかない、
いい女に育ててくれてありがとう、みんな。

けど人間としては感謝できないのが本音です。

親から自立しようとした箱入り娘ちゃん

私が今の会社に入社して1回目の春
とある新入社員の女の子と出会いました。
ぴえんの顔文字そっくりで
おっきくてうるうるして自信がなさそうな目と
下がり眉が特徴の可愛らしい子でした。
どこか儚げで他の新入社員の女の子たちとは
なかなか馴染めていない彼女がずっと心配で
よく気にかけて話しかけていました。

持病があって身体が弱い彼女は
入社して1ヶ月で泣きながら電話をかけてきて
「いなくなってしまいたい、みんなが私の悪口を言っている気がする。」
と打ち明けてくれました。
持病の影響で自己臭恐怖症がある彼女は
周りの人間を信用できなくなり、
休みがちになりました。

私はお見舞いに行っては彼女を励まし、
彼女の話に耳を傾けました。
徐々に家族の話も聞くようになり
東京のいいところで生まれた彼女は
親から大切にされた自覚はあるものの
親元へは帰りたくない様子でした。
そんなある日、
彼女が会社の労働組合に連絡を入れたようで
私の元へ労働組合から話が来ました

「担当が辞めさせてくれなくて困ってる、と相談を受けているのですが…」

初めてのクレーム
しかも自分としては引き留めたつもりもなく…
「どうして?」
以外の感情が出てこず、目の前は真っ暗。
あんなに「みりんさんにはお世話になって…」
と言っていたのはなんだったのか…
そんな時、最後に会った時の違和感を思い出しました。

化粧も薄くて控えめな彼女が
なぜか休みで外出予定もないのに
右手の薬指につけてた指輪…

「あの、多分本当の理由は他にあると思うんです。辞めた後、誰を頼るのか聞いてくれませんか?」

余計なお世話だけどそんな男

彼女が仕事を辞めてしまうのは心配だった。
その繊細さでは転職活動は重荷になるだろう。
けれども入社前に話した彼女はこんな性格だった?
なぜ入社してから急激に悪化した?
頑なに家族の元に戻りたくなさそうなのに
地元に帰ると言い張るのはなぜ?

私の代わりにヒアリングをしてくれた担当者から
私宛に電話がかかってきた
「みりんさん、みりんさんの予想通り彼女は彼に帰ってきたら?と言われてその気になって嘘を重ねていたようです。」
やっぱり、そうだ。
あの指輪は彼氏からもらったものだと気付いた時
本当に対話すべきは彼女じゃなくて
彼女の後ろにいる誰かだと思った。
新卒で仕事も始めたばかりで
悩みが多くなってしまう時期。
遠い地で頑張ろうと思ってても辛い時期。
少し弱音を吐いたら
「こっちにきて一緒に住もうよ」
と言われたら誰しもがそうしたいと思うでしょう。
私も思います。すぐ飛んでいく。

けど待って、あなたの人生の保証はあるの?

ツラい時に甘い言葉をかけてくれる人は
とても魅力的に見えると思う。
でも、一緒に住もうよって言うのが
もっと早いタイミングだったら
彼女はここに赴任して来てないんです。
未来の保証もできないのに無責任すぎる。
お姉さん、余計なお世話だとは重々承知で言うね。
「そんな男やめときなさい」

親の呪い×ダメ男=沼

ここで重要なのがなぜダメ男にハマって
盲目的に仕事を投げ出してしまう選択をしたのか。
それは彼女の親との関係にも原因があると思ってます。

ほとんどの場合
地元に帰る=親元に帰る
なのですが彼女は違いました。
親との折り合いが悪いことで
実家には心理的安全性がなかった彼女。
仕事が辛い時に逃げられる場所が
後先考えずに提供してくれた彼のところ。
しかも転勤ではなく退職で。
なぜか頑なに退職一本だった彼女の態度は
全部彼氏のアドバイスでした。
労働組合へ相談して私を悪く言うように指示したのも彼。
全体的に賢いとは言えない作戦を実行させた彼。
自信がない彼女は彼の言うことを聞く。
なぜここまで言うことを聞くのか?
精神的な依存先が彼しかないから、でした。

彼女の未来がとても心配だけれども
ここまで彼の言いなりになってしまってる彼女は
もう彼以外からの助言を聞く気もなさそうで
私には見送るしかありませんでした。

最後には謝罪の言葉と菓子折りをいただきましたが
私は自分の力不足に打ちひしがれました。

自分の足で立てるということ

実は女の子は花よ蝶よと育てられても
自己肯定感が低くなるように育てられても
自分の足が見えなくなる謎の呪いを
親からかけられることが多いです。
「あなたは1人では生きていけないから結婚をして子育てをして幸せになるのよ」
そんな呪文を遠回しに幼い頃からかけられます。
仕事ができたらできたで
「独身街道まっしぐらね」
と笑われることもしばしば。
私は彼女と出会って以降に出会う女の子には
必ずかけている言葉があります。
「あなたは自分の足で選択できる。誰かに左右される必要はない。歩みたい人生を歩める手伝いをお仕事というものを通して私は手伝うからね」

女の子の人生を決めるのは
親でも彼氏でもない、その子自身なのに
なぜか親や彼氏に誘導されてしまう子が多い。
それでいいならいいんだけど
大抵の親は自分より先に旅立つし、
彼氏だって約束された未来はない。
自分の人生をずっと責任を持てるのは自分だけ。
私はそのことを改めて痛感しました。

あー!!!野球部、入りたかったなー!!!
高専だっていきたかったなー!!!

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