カミサマのおはなし➍

神によって作られた一つの世界がある。
神は時々地上へ行き、ヒトに尋ねる。
「お前は今の生活をどう思っている?」

「お前は今の生活をどう思っている?」
「・・・誰・・・?」
「!?・・・お前達が神と呼ぶ存在だ。」

最近ヒトは宗教という考えへの、興味がないものが多く、
神に対しての反応が変わっている。
この世界は、今は宗教などという曖昧なものではなく、
科学というものに関心を持っているようだ。

「神?そんなものいないよ。いい医者教えようか?」
「・・・」

神は面倒なのでその辺の石を浮かせてみせた。
流石にこれには驚いたようで、神を信じたようだ。

「ほんとに神様なのか?」
「まあ、神といってもお前達の想像しているものとは少し違うがな。」
「へー。例えば?」
「まず、火や雷などは操れない。それに、生物を殺すこともできん。」
「やっぱ、そうゆうのは、神でも出来ないんだ。でもさっきのは?」
「私は、地面と海に関係している物質は操れるし、生物を生むこともできる。」
「あ、そこは○○教と同じなんだ。」

一応、宗教の考え自体は知ってはいるらしい。

「えーと、何だっけ…今の生活?別にふつーだと思うけど。」
「それは、幸せということか?」
「んー、幸せっていうか、でも不幸せってわけでもねーし…。つーかなんであんたは俺にそんなこと聞いてんの?」
「それは………」

それから神はしばらく考えた。
神は、まだ宗教の考えがあった頃にも同じように問われたことがあった。

それはたしか、貧しい地域の信心深い女だったはずだ。
神の問いに答えた後、女のほうから問い返してきた。

「それより、あなた様は何故、私にそれを尋ねられるのですか?」
「何故…?尋ねている理由か?それは・・・・・。」

初めて問い返され、改めて何故自分がヒトにこのような問いかけをしているのか分からなかった・・・

結局、考えているうちにそのヒトは神を困らせてしまったと慌てて謝りどこかへ行ってしまった。
後で知ったのだが、あのヒトはあの後、教会という所へ行き何日も祈り続けたらしい。
こちらは全く困っていないので神は少し気の毒に思った。

それから、しばらくずっとそのことを考えていた。
何故、自分はヒトに問うているのか。

結局、すぐに忘れてしまったのだが。

やはり、いまだに分からない。
「・・・・・・わからない。」
「・・・じゃあ、意味もなく聞いてんの?」
「・・・。」

「まあ、意味なくなんとなくしていることだってあるんじゃないの?俺だって今生きているけど、何のために生きているかって聞かれても答えられないし」

「そうかも・・・しれないな。」
「でしょ?」

「ありがとう。」
「へっ?」

「改めて自分のことを考えられた。」
「お、俺もなんか楽しかった。ありがとう・・・ございます?」

「では、さらばだ」
そう言って神は消えた

さて、
私はこれからどうしていくべきだろう

神は悩んだ。

また質問をし続けるか、

それとも
もうやめるか、

神はしばらくの間、考えるだろう

それは数日か、数年か、

それとも永遠か・・・








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