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ある日、雨の日、停留所で

ん?

何かが鼻先にあたって
ふと上を見たら目に何かが入った

「ぎゃっ」

目をこすって前を見ると周りにいた人たちがこちらを見ていた
どうやら声が大きかったらしい

いや、それどころじゃない
さっきまで降っていなかったのに急に雨が降ってきた

周りの人たちは全員何故か傘を持っていたがあたしは持っていなかった

辺りを見回すと屋根付きのバス停があったので全速力で走っていってバス停に駆け込むと中に誰かがいた

やばいヤツと思われてないかなと思いながらふと相手を見ると知った顔だった

あれ、コイツ同じクラスのヤツじゃない?

〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷

「ああ、これ降ってくるな」
そう呟いて辺りを見回した

もともと雨予報だったがあいにく傘を持っていなかったので何処か雨宿りできるような場所はないだろうか
ふと丁度よいバス停を見つけた
時間帯的にバスもしばらく来ないはずだからバスにも迷惑がかからないだろう

中にベンチがあったのでそこに座った

しばらくぼんやりしていたらどこかから「ぎゃっ」というへんな悲鳴が聞こえた

「雨粒が目とか首筋にでも当たってびっくりしたのかな」

どうやら雨が降り出したみたいだ
道行く人々は持っていた傘を取り出していた

ふとそんな様子を眺めていたら一人だけ傘を持っていなかった女の子がきょろきょろと辺りを見回していた

「ボクと一緒で忘れたのかな」
そんなこと呟いていると彼女がこちらに全力で走ってきていた

てかよく見るとあれクラスメイトのひとじゃないか?

〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷

「ええと、となりいい?・・・」

『え、う、うん』

・・・・・・

なに、この状況…

こいつも傘持っていなかったのは分かる
でも、なんでこんなに無言なの?

私は人から話しかけられないと話せないし
だからって二人無言は気まずすぎるって!

こいついつも男子のグループの奴らと一緒にいるはずなのに
ここまで無言なもんなの?

・・・・・・

『ああ・・・』

ん?何?なんなの?

「ひゃあああっ!!!」

〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷

なんかへんだ

さっきから
なんか喋ってよ!
という視線というかなんというか
とにかくなにかを感じている

いや、ボクだって無理だよ

たぶん男子グループと一緒にいるからなんだろうけど
あっちから絡んでくるだけなんだよな~

誤魔化すように空を見ていたら
一瞬明るくなった


「ああ・・・」
雷か・・・

数秒後大きな音が響いた、
と同時に

ボクの隣で
『ひゃあああっ!!!』
と雷に負けない悲鳴が響いた

・・・・

しばらく沈黙が続いたが
その後も数秒ごとに雷鳴と悲鳴は響いた


ボクの鼓膜が終わりを迎えるかと思われたころに雷はやんだ

『ちょっと、引かないでよ!』

「あっごめん」
余りのうるささに離れていたらしい

いや、でもこれから近づくのも変じゃないの?

うーんどうしたものか

「ええと、雷苦手なんだね」

『きゅ、急になったからでしょ』

「その割に、何回も叫んでたけど」

『うるさい』
いきなり低い声でいわれた

「はい、、、」

「ま、まあ、他に誰もいなかったしいいじゃん」

雨はいつのまにか土砂降りになっていたので
辺りにはボクら以外は誰もいなかった

雨音以外に音はほとんど聞こえない

〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷

もうなんなの?

雷が苦手なのは仕方ないでしょうが!

馬鹿にされてないかな…?

まあ、とにかく雷はやんだみたいだしいいか
それでもまだ雨は降ってるけどね

はあ、はやくやまないかな

『・・・・・』

さっきからずっと無言だし、もっと気まずいじゃない

「ねえ、なんか話してよ」

『えっ、なんで僕が?』

「静かだと気まずいでしょ!」

『ま、まあ、そうだけどさ』

「いいから!」

『ええと、じゃあ、こないだのテストどうだった?』

その話題だす?

「ええと、その・・・そっちから言ってよ」

『わかったよ、ええと確か、ボクは全部八十点以上取って、あ、数学は満点だったかな』

「自慢するな!」

『いや、だってそっちが言えって・・』

「わかったわよ!全部平均ギリギリでした!」

『そう怒らなくてもさあ』

「恥ずかしいじゃない」

『いやでも、テストでいい点とることだけが一番じゃないと思うよ』

「え?」

『だってボク、体育とか音楽とか美術とか全然だめだもん』

「私も苦手なんだけど」

『あ、ゴメン、ええとじゃあ得意なものとかは?』

「・・・特に、ない」

『なんかゴメン』

〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷

なんか悪いことしちゃったな

しばらく二人とも黙っていた

・・・・・

『あの、その、得意じゃないけど、好きなことは、、、』

「ん?」

『ええと、ええと、その、書くことが好きなの・・・』

「何を?」

『小説・・・とか・・・・・』

「へえ・・・」

〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷〷

言っちゃった・・・・

『いいんじゃない』

「え・・・?」

予想していない言葉が返ってきた

『好きなんでしょ?書くこと』

「う、うん・・・下手だけど」

『好きなことをするっていいことだと思うよ』

「でも、ほんとに下手で・・・」

『でも、好きならいいんだよ』

初めてだ、こんなこと言われたの

前に友達に話したら、変なのー、と言われたのに

「あ、ありがとう」

『え?』

「なんか元気でた、こんど、よかったら読んでもらってもいい?」

いきなりこんなこと言って困っているよね
断ってもいいから

相手の返答を待つ

・・・・・・

『・・・いいよ』


いつの間にか、空は雲一つなく晴れていた。

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