海外研修に参加した中高生の言葉から:その3
学校体験での言葉を拾い集めました。私はオーストラリアに引率することが多いのでオーストラリアの例が多いです。
11「ヤンは人を待たせても謝らない」
現地で仲良くなった中国系の友人ヤンと出かける約束をしたのですが、友人は時間になっても来ません。やがて現れたヤンは急ぐ様子も見せず、謝ることもしません。そんな彼に対して日本の生徒が抱いた不満です。
人を待たせたら「ごめんなさい」と謝るのが当たり前と思っている日本の子どもたち。誤らない文化もあることが理解できないようです。日本は電車が数分遅れただけで謝罪する習慣があり、鉄道会社の対応に驚く外国人も少なくありません。でも海外ではそんなことはありません。
謝罪ひとつにも様々な考え方、対応の仕方があることが学べます。
12 「バディーが面倒を見てくれない」
現地の学校を体験する際に一人一人にバディとなる世話役の生徒を付けてくれることがあります。外国人に興味があったり友達になりたい生徒、人を世話することが好きな生徒が選ばれることが多く、不安を感じる日本の生徒にとっては有難い存在です。でもバディにもいろいろなタイプの生徒がいます。またバディにも自分の生活があり、常に面倒を見られるわけではありません。そんなとき日本の生徒は「バディを引き受けておきながら無責任」「面倒を見るのが当たり前」と考えることが多いようです。
たまたま気が合わない生徒がバディになることもあります。友だちのバディと比べて自分のバディに不満を感じたりすることもありますが、自分のバディとじょうずに付き合うことを学ぶ方が賢明です。
13「現地の授業がわからない」
これは当然でしょう。プログラムに授業体験が組み込まれていることは多いですが、それほどレベルの高い内容ではなくても言葉(英語)がわからないから理解できないということは少なくありません。むしろわからないことの方が多いです。
でも落ち込むことはありません。内容がわからなくても授業を受ける生徒の様子や先生の授業の進め方、先生と生徒の関係などを観察するだけでも大きな勉強になります。日本の学校との違いに驚く生徒は多いです。ひとクラスの人数が少ないこと、ディスカッションが多いこと、生徒がよく意見を言うことなどに驚くようです。授業の内容がわからなくても学べることはたくさんあります。観察を楽しむことを勧めます。
14 「学校の中にゴミがたくさん落ちてる」
海外を体験して日本の良さを再認識する人は少なくありません。多いのがゴミに対する対応です。海外では校内にゴミがたくさん落ちていることが珍しくないからです。
海外の学校では生徒が掃除をすることはほとんどありません。クリーナーなどと呼ばれる清掃員が行います。毎日学校を掃除している日本の生徒は自分たちが掃除をすることの意義を改めて感じることが多いようです。だれでもきれいな環境で学校生活を送りたいですよね。
以前に書いた記事です↓
15 「生徒も先生もすぐに帰る」
これは多くの日本の生徒が驚くことです。授業はたいてい3時過ぎに終わりますが、授業が終わると生徒は一斉に下校します。日本のような部活動はほとんどありません。そして生徒が帰ると教師も帰ります。4時ごろには学校がしーんと静まり返ります。
これも以前の記事です↓
16 「イスラムの子と友達になった」
「スカーフをかぶった子がたくさんいた」
「先住民の子と話した」
「マイケルにマオリ語を教えてもらった」
「アフリカから来た難民の子と友達になった」
「ジェンダーフリーのトイレがあった」
「障がいのある生徒をよく見かけた」
「カフェテリアで食べたケバブが超美味しかった」
どれも引率した子どもたちが発した生の言葉です。「多様性」を体験していることが感じられます。
移民が多く暮らすオーストラリアの社会では多様な文化的背景を持つ人々が暮らしています。多文化主義を国是としてきた国ですので多文化共生は学校でも実現が目指されています。理念として重視されるだけでなく、教育活動の様々な面で具体的な取り組みとして行われています。学校体験を通して生徒たちが「多様性」への視点を養ってくれたら嬉しいです。