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学校にはさまざまな背景の生徒がいる
学校を訪れるたびに学校は社会の縮図であることを強く感じます。オーストラリアの社会には多様な背景を持つ人たちがいます。移民や難民など多様な文化や言語を有する人たちがいますが、それ以外にも先住民族、障がい、LGBTQ、社会経済的背景、居住地など多様な要素が背景として挙げられます。こうした多様性は学校教育にも反映しており、生徒や教職員にも多様な背景の人がいます。一様ではありません。
オーストラリアはこれまで多くの国や地域から移民や難民を受け入れてきました。それゆえ学校にも様々な民族的背景の生徒が在籍しています。オーストラリアの学校を初めて訪れたときに最も印象的だったのが子どもたちの多様性でした。肌や目、髪の色といった外見的な特徴だけでなく、話す言葉や行動、しぐさ、身に着けているものなど多くの点で多様性を感じました。日本の学校ではほとんど感じることのなかった点です。
オーストラリアでは住民の約3割が海外生まれと言われています。自身が海外で生まれた人と両親のどちらかが海外で生まれた人を合わせると総人口の5割を超えています。生徒の中にも自分はオーストラリアで生まれたけれど家族のルーツは海外にあるという生徒はたくさんいます。家庭で英語以外の言語が話されていることも少なくありません。言語や文化の背景は実に多様です。
2017年から4年間でオーストラリアが海外から受け入れた人口は合計約102万人となった。海外で生まれた者または両親のどちらかが海外で生まれた者(移民)は、総人口に占める割合が5割を超え(51.5%)、両親のいずれもオーストラリア出身かつオーストラリアで生まれた者(48.5%)の割合を上回った。移民の出身国別に2016年から5年間で増加した割合をみると、ネパールが2.1倍、インドが48%、パキスタンが45%、イラクが38%、フィリピンが26%の順だった。
海外生まれの人の出身国↓
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民族的背景は移民や難民だけに見られるというわけではありません。白人が入植する以前から大陸に居住していた先住民族も多様性の際立った存在です。アボリジナルとトレス海峡島嶼民がよく知られていますが、アボリジナルも一括りにはできず多様な種族が存在します。
宗教にも多様性が見られます。ヒジャブを身に着けた女子生徒などは校内でもよく見かけますし、ラマダン中だからランチは食べないという生徒もいます。宗教上の理由から学習活動が制限されることもあるようですが対応は概して柔軟なようです。
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障がいのある生徒は日常的に目にします。特別支援学校がありますが障害のある生徒の多くが通常の学校に通っているからです。介助者が付き添うなど必要に応じて援助が得られます。障がいのある生徒が在籍することがあたりまえの雰囲気を感じます。
ジェンダーや社会経済的背景、優れた才能(gifted and talented)も多様性の重要な要素です。ジェンダーに関しては制服や着替え、トイレなどへの配慮が見られますが他にも妊娠中の女子生徒や子育て中の生徒などへの配慮が必要なこともあります。社会経済的背景は近年大きな社会問題となっており、対応が必要な生徒が増えています。また、優れた才能があっても適切な対応がなされなければ才能を伸ばすことができず、枯渇させてしまうことだってあります。
ジェンダーや障がいに配慮したトイレ↓
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広大な国土を持つオーストラリアでは人々の居住地も多様です。特に国土の大半が遠隔地は環境が都市部と大きく異なり、子どもたちの学習にも影響を及ぼしています。さらに都市部でも地域による経済的格差が広がっていて支援を必要とする生徒の割合が高まっています。
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出所:University of Adelaide の資料を一部加工してあります
以上のことから学校では生徒の多様性への対応が日常的に求められており、特別な支援を必要とする生徒も少なくありません。特に支援が必要な要素としては以下が挙げられますが、これらの要素を複合的に抱える生徒もいるため支援は簡単ではないようですが。
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