大学教員の口から出る「Fラン」ということば
大学に勤務する若手教員の人たちと話をする機会がありました。みんな新進気鋭の研究者です。「若い先生っていいな」そう思いながら話をしていましたが、ちょっと気になることがありました。
彼らの口から「Fラン」という言葉がたびたび発せられたことです。「○○大学はFランだから」「Fランの学生じゃあしょうがないな」などと他大学を見下した言い方がしばしば聞かれました。中には自分の勤務する大学のことを「うちはFランだから」とか「Fランを早く抜け出したい」などと自嘲的に言う人もいました。
Fランという言葉が使われるようになって久しいです。一般には偏差値が低く、入学し易い大学のことのようです。たしかに大学の中には高等教育機関とは思えないようなところもあります。でも予備校など受験業界の人が大学のランキングについて内部で語るのではなく、その世界に身を置く大学の先生、特に若い先生たちがあからさまに口にすることには違和感を覚えました。
最近は学位を取得しても希望する大学の教員になるのは大変です。それゆえFランと言われる大学であっても職を得られるだけ有難いと考え、ひとまず就職しようとする人は少なからずいます。だからでしょうか、自分のことを「しがないFランの教員です」などと自己紹介する人に会うことがあります。そして自分の教える学生を勉強しないと嘆き、授業にもあまり力を入れません。もちろんFランの先生でも一生懸命教えている先生はたくさんいます。大学のレベルを上げる努力をしている人もいますし、学生のレベルに合わせて授業を工夫している人もいます。
「Fランだからうちの学生はだめだ」と思う気持ちは学生にそのまま伝わるのではないでしょうか。そんな先生のもとで学ぶ学生はどんな気持ちでしょう。学生の中にも学ぶ意欲のある学生はいます。能力の高い学生もいます。大学は研究機関であると同時に教育機関です。大学の先生には教育者としての自覚も持ってほしいと思います。さらにFランを抜け出せるような改革に尽力してほしいとも思います。「そんなの無理、無理!」「現実をわかっていない」という声が聞こえてきそうですが。
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