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加害の歴史を忘れない

生活クラブ生協が毎月発行する『生活と自治』という冊子にフォトジャーナリストの安田菜津紀さんが「対話する日々の中で」という記事を書いています。12月号には「暴力と紛争を拡大させないためにー「加害の歴史」を忘れない」というタイトルの記事が載っていました。

安田さんは6月に取材で東ティモールを訪れます。そこは太平洋戦争中、日本軍が3年半にわたって占領し、占領期には戦況の悪化や食料不足、強制労働などで4万人近い人が亡くなったとされています。私は記事を通してそのことを知りました。

安田さんは問います。東ティモールに限らず、占領や植民地支配の歴史を正当化するために発せられる「道路や鉄道を整備していいこともした」とか「感謝している国もある」という「定型句」を聞き飽きるくらい耳にするが、支援を円滑にするための敷設工事に多くの住民が犠牲になったことははたして「いいこと」なのかと。そして、そのインフラから得られる利益を得ていたのは占領者だったのではないかと言います。一方、戦後、謝意を表す国々には日本からの経済協力を引き出す意図はなかったかという疑問を投げかけ、そのはざまで、声を出せない民間人が置き去りにされてきたのではないかと言っています。抜け落ちている視点を安田さんは指摘しているのでしょう。

「加害の歴史」をなかったことにしてしまう身勝手な論理に恐ろしさを感じます。私自身の視点も再度見直してみようと思います。


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