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【掌編怪談】死の初詣(250字)

 今年の元旦の午前0時過ぎ、自宅にいた江原さんのスマホに電話が入った。
 画面には、友人の名前が表示されている。
 江原さんが通話に出ると、挨拶も抜きで友人が言った。
「今、初詣に来てるんだ。年内に会える様に、願掛けしておくよ」
 一方的に言って、通話は切れた。
 一体なんだ? と面食らった江原さんは、ハッと気付いた。
 その友人が、とっくに亡くなっていた事に。
 彼が電話して来るはずもなければ、彼が逝去した当時に、スマホの登録から削除した名前が表示される訳もない。
 年内に会えるとは、あの世で再会するという意味か? 俺は今年死ぬのか? と江原さんは怯えている。

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