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2025年度になぜ新学部・新学科が設置される?

今回は2025年度に様々な新学部・新学科が設置される理由を考察していきます。



①2025年度に設置される新学部・新学科

なぜかやたら2025年度に色んな大学が新しい学部や学科を設置しているようです。理由は後々見ていきますが、まずはどのような大学がどのような学部や学科を設置しているかを見ていきましょう。

  • 山形大学 社会共創デジタル学環

  • 神戸大学 システム情報学部

  • 福井大学 恐竜学部

  • 東北福祉大学 共生まちづくり学部

  • 亜細亜大学 社会学部 現代社会学科

  • 大妻女子大学 データサイエンス学部

  • 実践女子大学 環境デザイン学部

  • 帝京大学 理工学部 総合理工学科、データサイエンス学科

  • 北里大学 獣医学部 グリーン環境創成学科

  • 追手門学院大学 理工学部 数理・データサイエンス学科等

  • 関西大学 ビジネスデータサイエンス学部

などなど・・・
上記は一例ですが、2025年度は様々な大学で多くの学部・学科が設置されます。中には今まであった学部・学科の再編ということもありますし、東京科学大学のような合併(合併は2024年10月から)、東京家政学院大学や清泉大学(旧:清泉女学院大学)のような共学化などもあります。

②新学部・新学科の特徴

次に新設される学部学科の特徴を見ていきましょう。
傾向としてまずは「データサイエンス」や「環境」に関連するものが多いです。この理由については後ほどお伝えします。上記に抜粋したものがそういうものばかりですので、そう見えるのも当たり前ですがもちろん他の分野の学部学科も新設されていますよ!
ただ、それでも傾向としては「データサイエンス」や「環境」に関連するものが多いね。

次に女子大学の申請も割合として多いです。これはやはり女子大学の学生数確保が厳しい現状に対する起爆剤を狙っての新学部・新学科のように思えます。

③どうして2025年度に新設するのか?

それではなぜ2025年度に様々な大学が新学部・新学科を設置するのか、以下推測ですが見ていきましょう。

③-① 補助金

一つ目の理由は「補助金」です。つまり、新しい学部学科の設置に対して文科省がお金を助成しますよ、という理由です。
これは理系分野に対して他の国に比べて、日本は人材が不足しているという危機感から、国がデジタルグリーン等の成長分野をけん引する高度専門人材の育成に向けて支援する、という内容です。こちらは政府の「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和4年10月28日閣議決定)で発表された内容です。
つまり、「データサイエンス」や「環境」などに関する学部の新設や再編に国が補助をする、ということです。なのでそういった分野の学部学科の新設が多いんですね。もちろん他の理系分野でも補助の対象になりますし、2025年度に限らず2026年度以降もこうした学部学科の設置はあるでしょう。

詳しく知りたい人は以下の文科省の資料をご参照ください。

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000212163.pdf


③-② 新学習指導要領

二つ目の理由は「新学習指導要領」です。
新学習指導要領?なんじゃそりゃ。という人もいらっしゃることでしょう。
簡単に言うと、高校までの授業内容って文科省によって決められているんですよ。その内容の改訂が数年のスパンであって、今回新しい学習指導の内容で学んできた高校生が入学するのが2025年度、ということなのです。

といってもそんな大きく変わってるの?
そうなんです、今回割と大きく変わっているんです。
例えば「情報」。もう小学生からプログラミングの授業が始まっています。そして2025年度の共通テストからは「情報」の科目も追加されました。こうした背景から新学部でも「データサイエンス」系が多いのもあります。
また、「総合的な探究の時間」(中学では「総合的な学習の授業」)。これは高校の先生方を悩ませる授業ですね。これはどんな授業か、文科省曰く

総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。

総合的な学習(探究)の時間:文部科学省

いや、さっぱり分からん。
自分も良く分かりません。ただ、自分が高校生だった時よりも自由度が高く、主体的にやっていかなきゃいけなさそうな雰囲気は出ています。

これら新学習指導要領についても詳しく知りたい人は以下の文科省のページをご参照ください。


③-③ 周りの大学に後れを取らないように

三つ目の理由は「周りの大学に後れを取らないように」です。
これが理由になるか微妙ですが、「A君がやってるから私もやろう!」って理屈です。
周りの大学が学部学科の新設を行い、それが起爆剤となって学生を取られたらどうしよう、よしうちの大学もやるか!このようなことが実際に起きていると思います。大学の企画室って学生数を確保するためのネタって欲してますし、広報なんかももちろんのことです。

ただ、この学部学科の設置って大変なんですよね。数年ごとのスパンでやっている大学ならノウハウも蓄積されていると思いますが、今回のタイミングでやるとなると、どのような学部学科にするのか、新設するにしても大学校地やキャパシティや学科に適した教室が必要になってきたり、専任教員の募集だったり文科省への課程認定だったり・・・
そもそもお金が掛かるので補助金にどう絡めるか、そもそも絡められるのかなんてことも考えなくてはいけません。
考えただけで頭が痛くなる(笑)

ということで周りがやっているから後れを取らないように、といってもものすごいマンパワーを必要としますし、それこそ教職協働で進めなければクリアできないことだと思います。
そして新学部を設置して終わり、ではありません。
むしろこれからがスタートです。

まとめ・おわりに

いかがでしょうか?
今回は2025年度に新設される新学部・新学科、そしてどうしてこのタイミングなのかを見てきました。
新学部・新学科を設置する大学は大変だと思います。しかし、時代や社会が変われば大学も学びも当然変わっていかなくてはいけません
むしろこれが当然の流れなのかな、とも思います。
今回の記事が大学職員を目指している人に少しでも貢献できれば幸いです。


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