
何でもない日常
何でもない日常。
小鳥はさえずり、他愛の無い会話が世界あちこちで繰り返され、各自が自分の人生を生きている。
貧富の差はあれど、人々の生活は、悠久のものとして続くと、多くの人が疑わない。
この極東の島国においてもそうだ。
今日もこの青い空の下、多くの人が、この営みは悠久だと信じて疑っていなかった。
人だけではなく、犬も猫も、魚も、猿も、生きとし生けるものたちは、みんな、そう信じていた。
「彼」も、住んでいる観光都市の、神社の池のほとりで、今日も澄み渡る青い空を眺めながら、コーヒーを片手に、100キロ先にある、育った街の事を想いながら、「これからまだ人生長いんだ‥平和な日々であるといいなあ」と想いをめぐらし、鯉たちを眺めていた。
「彼」も、これまでの人生が辛かったから、この先の自身の人生が実りあるものになるため、様々な努力に邁進していた。
「これからが本番だ‥やるぞ!!」
「彼」は腰を上げた。
その頃、一本の指が、触れてはならないボタンを押した。
「彼」の思い描いた自身の将来も。
悠久と思われた、この青い星の営みも、その時、無となった・・・。