ふと太宰治を読んでみたくなり、何を読もうかと思った時に、『女生徒』がどうやら評価が高いと聞いたことを思い出し、それを読んでみました。
まさか自分がこの主人公に感情移入するとは、と思いました。
青空文庫でも読めるので、ぜひぜひ。
僕は紙で読んだので、引用は太宰治『走れメロス』、新潮社、2005年、に所収の『女生徒』(84-138頁)から行います。
以下から好きな所を抜き出します。
この作品は非常に胸に来ました。
妙に大人っぽい目線で周辺世界を見ていますが、青年時代の悩みや主張を抱えている主人公。そんな様子が自分に刺さりました。
親への慈しみも自分と重なりました。
そして想像以上に読みやすかったです。『人間失格』は何とも読みにくかった覚えがあるので。この時期の作品は読みやすいのかな?
ちなみに『満願』という短編も非常に良かったです。
文庫の解説に「男性の作者がなぜここまで、若い女性を表現し得るのか、不思議である」(291頁)とありました。
しかしこの主人公像は男女共通だと思います。時代、性別、年齢、家族構成が違えどこんなにも分かり合えるのは、性別を超えた普遍性があるからだと思います。
また、所々にある繊細な比喩が綺麗でした。
個人的には芥川龍之介よりも太宰治の方が好きです。どちらも全部読んでいないので、適当な意見ですが。太宰の方が、内面をよりはっきりと書いている気がします。