【ネタバレあり】『ボルテスV レガシー』の感想
私はボルテスVリアルタイム世代では無く、スーパーロボット大戦で知った世代。
原作のアニメを見たこともない。
でも歌が熱いのとフィリピンで人気なのは知っていた。
何年か前にフィリピンで実写化しようとしていると言うニュースが映像と共に日本に届いた。
映像は非常に良くできていて、日本でやったら見たいと思った。
そしていよいよ日本で公開されたのでブイ・トゥギャザーしに行った。
結果は大満足。
合体シーンだけでも元は取れた。
以下ネタバレ。
映画序盤はどんどん展開していく。
いきなりボアザン帝国が攻めてきて攻撃開始するし、ボルテスチームもいきなり召集されてあっさり出撃してしまう。
タメやキメ等が無いので勿体無いと思った。
でも元々90話のドラマを無理やり映画にしたのだから仕方ないかもしれない。
状況の説明がゼロ。
マリアンヌ博士(原作では剛光代)、スミス博士(同じく浜口博士)、ロビンソン司令官(同じく岡長官)の立場や関係性の説明もない。
初見の人はもうついていけないだろう。
だがフィリピンではほとんどの人がボルテスVを知っていると言うから、余計な説明は不要なのかもしれない。
序盤はボルテスV合体で一気にボルテージが上がる。
「ブイ・トゥギャザー!」の掛け声とともに、おなじみの「ボルテスVの歌」が流れる。
現地フィリピンの女性歌手が日本語でソウルフルに歌い上げる。
元々は堀江美都子さんの神がかった歌声で完成する曲だが、このフィリピン歌手も負けないくらい見事に歌っていた。
ボルトマシンのCGの質感も素晴らしい。
元のデザインはそのままに、ディティールがアップしていて現在に通用するかっこよさになっている。
そして合体シークエンス。アニメを再現しつつ、ドッキングの時の重厚感等が増している。
私は思わず合体中に映画館でガッツポーズしてしまった。
すごいテンション上がったし、こう言うので良いんだよと思ったからだ。
そして完成するボルテスV。
すごくかっこいい。
全体的にマッシブになっていて強そう。
こんなおもちゃ欲しいと思った。
正直コン・バトラーに比べてボルテスはかっこよくないと思っていたが、本作では見事にリファインされている。
敵のビーストファイター(獣士)との戦闘がまた素晴らしい。
格闘戦では重い金属同士がぶつかる感覚が音と映像から伝わってくる。
これは4DXにしたら面白そうだ。
そしてボルテスの豊富な武器も次々繰り出される。
チェーンナックル、ボルテスバズーカ、超電磁ゴマ...…トドメの天空剣Vの字切り。
硬くて重いビーストファイターの装甲がやすやすと切り裂かれてしまう。
文句無しの戦闘シーンだった。
ボアザン陣営も面白い。
特にイケメンのプリンス・ザルドス(ハイネル)。
ビーストファイターが優勢の時は嬉しそうなのに危なくなってくると焦りだすと言う顔芸が面白い。
さて、ボアザンの第一波を迎撃した後はどうなるのかと思ったら、主人公たちの母親でもあるマリアンヌ博士にフォーカスされた。
家族の仲睦まじい様子が描かれていく。
そこに再びボアザンの攻撃が迫る。
移動要塞であるスカールークとビーストファイターの同時攻撃を受けてピンチに陥るボルテスチーム。
基地へと向かうマリアンヌ博士も攻撃を受けるが、貧相なハンドガンで巨大なスカールークに攻撃、さらに弾がなくなったら投石すると言う闘志を見せた。
すごいシーンだったが、原作にもあったのだろうか?
そんなマリアンヌ博士を見てプリンス・ザルドスは「あの女が地球防衛の核心を担っている気がする」と言い当てる。
おもわず笑ってしまったが。
そしてマリアンヌ博士は傷つきながらも子供達を守るためにさらに戦う......
本作の主人公はボルテスとマリアンヌ博士だった。
今回の映画はボルテスVのごく一部だけれども、作品の根底に流れる家族愛を見せられた気がする。
ボルテスVがフィリピンで流行って理由としてマルコス政権云々とか、まことしやかに語られるが、この家族愛がフィリピン人の気質にマッチしたのもウケた理由ではないかと思った。
ドラマを再編集したものだから映画としての完成度は低いが、それでも十分楽しめた作品。
アニメの実写化自体上手くいく例は少ないが、特にロボットアニメの実写化でここまで成功した作品は少ないと思う。
トランスフォーマーは上手く行ったと思うが、あのガンダムですら実写化には成功していない。
実写化成功の核心は作品愛だと思う。
作品愛があればいい加減な実写化はできないはずだ。
フィリピンの監督以下、スタッフが作品愛を持っていたからこそここまでの作品が生まれたのだと思う。
日本の実写化界隈も見習ってもらいたい。