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モンスター社員を傍目に、持続不可能な世界への覚悟を決めた話

先日のnoteが非常に多くの人に読まれた。


久しぶりのスキ❤️200超えをいただき、大変にありがたく思う。

決して心温まる内容とは言えない文章がこれだけ支持されたのは、ひとえに現場での”「人材不足」への共感”があったからだろう。


これからの時代は、こんな雇用の捉え方がスタンダードになっていく。

これは何も、経営者が被雇用者を虐めようとしている訳ではない。


概念的に両者は”仲良し”にはなり得ないが、かといって恨み合いたい訳でもないだろう。


ではなぜ、経営者は「雇用自体を辞める」という思い切った戦略にとうとう舵を切ったのだろう。

「原理的にそれは自然なことだよ」

と言ってしまえばそれまでだが、そこにはこんな止むに止まれぬ苦悩のエピソードがあったはずだ。

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少し前の話になるが、Aクリニックに大変な”モンスター”がいた。

モンスターペイシェントではない。

モンスタードクターである。B医師としよう。

中年の女性医師であったのだが、とにかく情緒が不安定だった。

精神科領域の具体的な診断名がついているのか、詳細は知らない。

だが、それは器質的なものというよりは、少なからずパーソナリティの問題を疑わせるような、そんな人だった。

僕はこのクリニックに顔を出し始めた当初は、その異常性に気づかなかった。

確かに「感じが悪いな…」という印象はあったが、仕事はテキパキとこなしていた。

むしろ診療スピードは平均より早い印象であったし、診断能力も高いように見えた。

僕は特段仲良くなることもなかったが、取り止めのない会話をするくらいの関係性で過ごしていた。

ある日、ふとした折に、別のドクターからこんな声かけをされた。

「先生、大丈夫?」

最初は何のことかさっぱりわからなかった。

「え、何の話ですか?」

そう聞き返すと、

「ほらB先生と一緒に入ってもらってるから、何か困ったことないかなって」

「困ったこと?いや、今のところは特にないですけど…」

たしかこんな返事をした記憶がある。B医師はどうやらあまり評判がよろしくないようだが、今ひとつ実感できなかったのだ。

そんなこんなで数ヶ月過ごした頃、僕は現実を知ることとなる。

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出勤すると、院長に対して激しく声をあらげるB医師の姿があった。

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