58 生きることは苦であると念じる
智慧で、真理で、怒りというバケモノを退治しましょう。難しくはありません。まず、仏教の伝統的なやり方を紹介します。 それは
「一切の現象は無常だ。儚いものだ。変化し続けるのだ」というような文章をなんとなく頭の中で念じ続けることです。
「なんか嫌だなぁ」と思うことが起きたら、瞬時に「無常だからですね。あり得ることですね」と反応します。それから、「生きることは根本的に苦である」と念じることもあます。苦とは、苦しいという意味だけではありません。人生には、苦しいときも楽しいときもあります。それとは関係なく、瞬間瞬間、老いていくのです。
生きるとは、死に向かってまっしぐらに走ることです。必死で頑張って生きているのは当たり前ですが、生きるとはなんだか虚しいことなのです。この理解に基づいて、
「生きるとは苦である」と念じるのです。
これは伝統的な実践方法です。常に清らかな心で、落ち着いた心でいることができます。ひたすら唱えるのではありません。100回、1000回という回数ではなく、この念が人生全体に行き渡ることが必要です。宗教的な「行」ではなく、真理を確認する仕事です。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第1章 私たちの悩みを解決する《苦》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【怒らない練習 p123】