105 本能に注意する

 生命は皆、本能に流されて生きています。無智がつくり出す本能の基本は、存在欲と死を恐れることです。本能の指令に生き方を任せると、自分が何をするのかわからなくなります。「生きていきたい、死にたくない」という本能がなくなっても、我々には何の問題もありません。誰であろうとも、死ぬまでしか生きていられないのです。自分も生きて、他人も生きられる行為をするのは、本能を抑えている人間です。本能の奴隷になっていない人は、「生き延びるためなら何でもやる」という残酷な行為に走りません。だから本能を抑えている人に対して、他の生命は敵視することをやめるのです。これが幸福への道です。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第2章 仏教の教えを理解する《心の正体》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【今日を充実した一日にするための日めくりブッダの教え 27 (2016年)】

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