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『刑事マードックの捜査ファイル シーズン5 001 自分の居場所』 (1962文字)

 私はミステリが好きなので、衛星放送で放送されている『刑事マードックの捜査ファイル』を楽しく観ています。
 20251021(日) からシーズン5が始まりました。
 シーズン5の第一話(001)は、「自分の居場所」という邦題が付いてます。英語名では"Murdock of Klondike"で、訳すると「クロンダイクのマードック」となります。クロンダイクは、カナダのユーコン川流域のある金の産地です。

 マードックは、シーズン4の最終回でちょっとしたことをしでかして、トロントを離れクロンダイクに来ているという設定です。
 ジュリア・オグデン検視官の結婚と自分の過去の事件処理についての後悔が重なり、かなり傷心の様子です。

 そんなマードックは、クロンダイクで砂金を取って暮らしているようです。

 そんななか、マードックの宿泊先のオーナーであるエリザベスが逮捕され拘留されていることを聞きます。
 容疑は、ケイトという女性の殺害容疑でした。

 この事件がマードックの復帰の切っ掛けになります。

 一方、トロントの第4分署(マードックが勤務していた警察署)では、マードックは長期休暇をとっていることになっていて、その間はクラブツリー巡査が臨時に刑事となっています。
 ここでも、殺人事件が起こり、クラブツリー臨時刑事が捜査を担当します。

 今回は、この二つの事件捜査を中心に描かれますが、今シーズンから新たなレギュラーが加わったようです。
 新レギュラーは、オグデン検視官の下で働くことになったエミリー・グレース検視官です。
 ただ、本当にレギュラーとなるのかはまだ分かりません。このドラマでは、何回か継続して出演したのにいなくなるという人がいます。ただ、番組の終わりにレギュラー出演者が揃っている画面が表示されるのですが、そこにその新人検視官が映っているので少なくてもこのシーズン中はいつづけるような気がします。
 なお、マードックのシリーズの全体をとおる軸になるものとして、マードックとオグデン検視官の恋の行方があります。
 今回から登場したエミリー・グレース検視官は、どうもフェミニストっぽいのと、オグデン検視官の私生活に興味津々のようです。彼女(エミリー)はきっとオグデン検視官の結婚生活に介入して問題を起こしそうな気がします。
 

 ところで、今回マードックが活躍するカナダのクロンダイクは、ユーコン準州(準州(准州、じゅんしゅう territory など)は、州による連邦国家において州に準ずる構成主体ないし本土未編入の自治領的な部分で、 州より自治権が弱い。)にあります。

 私にとってユーコンといえばユーコン川で、『水曜どうでしょう』の川下りが思い出されます。
 直前のシリーズ「対決列島」を制した藤村ディレクターの企画に従い、ユーコン川をカヌーで下り、テント生活を繰り返し、巨大な蚊に刺され、大泉くんの作った意外においしい辛料理に唇を腫らす、あのユーコン川下りです。

 ところで、マードックが勤務していたトロントは五大湖の一つオンタリオ湖の北岸にあります。つまり大陸の東の端っこです。
 一方クロンダイクは、アラスカのすぐ近くという場所にあります。つまり大陸の西の端っこです。
 マードックは傷心とはいえ、ずいぶん遠くに来たものです。

 ここでマードックは砂金を取りますが、取った砂金の金額の見積もりをしてもらうと、200ドルくらいと言われマードックは「今までの年収の半分だ。」と唸っていました。
 マードックが活躍したのは19世紀の終わり頃ですが、この時代の200ドルってどれくらいの価値があるのでしょう。
 現代の警官の給与が年700万円くらいだと思いますが(特別手当などは除きます。)、それから換算すると350万円ってことになります。この給与であのちゃんとした服装を維持するには節約が大変だったろうと思います。

 トロントで臨時刑事となったクラブツリーの事件は、犯人が高慢だったわりにはあっさり解決しました。
 一方マードックの方は、案外複雑な展開を辿ります。
 未観の人のためにここでは詳しいことは書けませんが、シーズンを重ねてもシナリオの質が落ちないところが、このマードックシリーズが長続きしている理由の一つかなと思います。

 そうそう、マードックはクロンダイクで一人の青年と出会います。
 その青年は、ドラマの終盤でジャックく・ロンドンと名乗ります。
 また、マードックが口走った「野生の呼び声」という言葉に何か触発されたようです。
 ジャック・ロンドンは、アメリカの作家で、代表作の一つに『野性の呼び声(The Call of the Wild)』があります。

 マードックシリーズにはしばしばこういうことが起こります。

#マードック #クロンダイク #トロント



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