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コッホ 近代細菌学の開祖 (758文字)

 子供のころ、ロベルト・コッホの偉人伝を読みました。
 コッホとゴッホ(画家)を混同する人をたまに見かけますが、まぁ、黙って聞き流します。

 コッホは、炭疽菌の純粋培養に成功するなど数多くの業績をあげています。炭疽菌は今でも細菌兵器として使用されるほど人体に悪影響のある細菌です。現在、炭疽病により亡くなることがほとんどないのは、コッホのおかげといっていいと思います。
 そのコッホの業績の中で私が覚えているのは、光学顕微鏡で細菌を見つけられなかったとき、「染色して色を付ければ見つけられるのではないか。」と閃き、染色法を開発したことです(子供のころの記憶なので不正確かも知れません。)。
 このことを読んだ当時は、「ふーん」としか思いませんでしたが、何十年か後にアメリカのテレビドラマ『CSI科学捜査班』で、指紋検出に瞬間接着剤を蒸気にして指紋痕に付着させ可視化するというやり方をみて、コッホの記憶が蘇りました。
 可視化することは物事を理解し対応するための第一歩です。
 コッホが細菌を見つけるまでは、感染症は「悪魔の仕業」とか言って呪術等でなんとかしようという非科学的な方法をとったり、呪術使いの振りをして大金を搾り取るぺてん師が跋扈(「ばっこ」。思うままにのさばること。)していたことでしょう。
 現代の感染症はウイルスが主敵になっていますが、もし細菌の実態が知られていなければ、人類は細菌とウイルスを「未知の感染症原因」として戦わなくてはならなかったわけです。
 現代でも、新型コロナウイルス禍の中でテレビ番組で専門家風な人がいろいろ喋っていましたが、もしコッホがこれを見ていたら何と言っただろうかと思いました。

 偉大な先人の輝かしい業績を、後の凡人が金儲けのネタにするのって、見ていて情けなくなります。

#コッホ #染色法

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