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実験現代写真日記2
実験写真と聞くと誰を最初に思い浮かべるだろう?
恐らく最近ならスティーヴン・ギルかもしれない。マン・レイを思い出す人もいるだろう。
ドイツ写真が好きな人ならトーマス・ルフかもしれないし、ポラロイド好きならステファニー・シュナイダーもその範疇に入りそうだ。
まあ、写真家は多かれ少なかれ実験写真家の側面があると思う。
暗室で薬品を使ったり、まんま理科の実験だから。
では日本では??
僕が最初に思い浮かべるのは戦前の難波写真倶楽部や丹平写真倶楽部だ。
安井仲治や上田備中を中心として、大阪で活動していた。
1930年代が主な活動期と言ってよいか分からないが、当時はカメラは超高級品だったため作家達は恐らくみんなそこそこの金持ちだったんだろう。
今みても洗練された雰囲気が見てとれる。
僕はこの時代の写真が好きだし、とても興味がある。
写真黎明期の熱気と興奮、実験の純粋な喜びが詰まっているように思えるからだ。シュールレアリズムからの影響が大きいとはいえ、それだけではない何かがここにはある
残念ながら求心的存在であった安井仲治が若くして亡くなってしまったことと、戦争のせいでこの実験写真のムーブメントは短命に終わってしまい、戦後は土門拳の絶対非演出の絶対スナップ的なリアリズムが写真のメインストリームとなる。
もしも戦争が無ければ、日本写真史は全然違う道を歩んだのではないかと僕はよく夢想する。
何もかもが違ってくるのでハッキリとは想像できはしないけど、土門拳のヒロシマも東松照明のナガサキも無かったことになり、すると恐らく森山大道や中平卓馬も無かっただろう。
そう考えると当たり前かもしれないが社会状況と作家というものは分かち難く結びついているものなんだろう。
長くなってきたので今日はこの辺りで、、
乾杯!!
2023.3.13