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民法#87 留置権②

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留置権の消滅


→原則として占有を失うと留置権は消滅する。質権の場合、占有を失うと対抗力は喪失するが質権そのものは消滅しない。
→留置権には善管注意義務があり、また債務者に承諾なくして使用や収益、担保に留置物を用いることはできない。なお、これに反した場合は債務者は留置権の消滅を請求することができる。
→不法行為にもとづく占有による留置はこれを認めない。
→相当の担保をかわりに供与することで債務者は留置権の消滅を請求することができる。これは法定担保物権である留置権に特有のことで質権には認められない。
→何が相応の担保か当事者しかわからないので、留置権者(債権者)の承諾は必要である。相応の担保を提供しているのに、承諾しない場合は裁判所に訴え出ることができる。
→留置権者が留置物の使用や収益につき許諾を得ている場合で、その物の譲り受けについて対抗要件を満たしている新所有者は留置権の消滅を請求することができない。

留置権の不可分性


→他の担保物権同様に、留置権の基本的な性質の一つである。なお、留置権には物上代位性や優先弁済効力がない。
→たとえ留置物の一部を引渡しとしても、残りの留置物のために先に引き渡した分を含む全額を支払われるまで残りの物に対して留置権を主張することができる。

【コラム 留置権と担保物権の性質】
担保物権には下記の性質がある。
①付従性②随伴性③不可分性④物上代位性⑤優先弁済効力
→①②がない抵当権が根抵当権である。
→留置権は④と⑤がない。⑤について、例えば留置物を競売することはできるが(形式競売)そこから優先弁済を受けることはできない。なお、果実からは優先弁済を受けることができるので注意

【用語 引換給付判決】
引換と給付を同時にするよう裁判所が判決を下すこと。もちろん、当事者がそれを主張することによって裁判所は判決を下すことになる。
同時履行の抗弁権や留置権の主張である。この2つが競合することも当然ありうる。

留置権と必要費、有益費、造作買取請求権


→必要費はたとえ悪意占有者も償還請求できる。なお、占有者が果実を得ていた場合はその限りではない。
→有益費は必要費同様に善意悪意を問わないが、悪意の場合には回復者の請求により、期限を与えることができる。つまり、占有者は留置権を主張できなくなる。
→有益費は支払った額か価値が増額する分につき回復者が選択する。価値が増加した部分が存在する必要がある。
→したがって、必要費や有益費を被担保債権に留置することは可能だが、それが住宅の場合、賃料相当分を支払わなければならない。なお、家主は相殺も可能。
 ※これは賃料ではなく、不当利得返還の一種であることに注意
→なお、留置する場合においては、使用や収益可能だが、やはり債務者の許諾を要するのが原則である。しかし、保存行為については認められ、家や船舶の使用も保存行為として認められる。※船舶の遠洋航行はその限りではない。
→賃借した土地の上に家屋がある場合、借地借家法により買い取り請求をすることができる。その際に建物の対価が支払われるまで建物を留置することができるが、反射的効果として土地も留置することができる。ただし、やはり地代相当を不当利得として支払わなければならない。
→必要費や有益費のために建物を留置することができるが、造作のために建物を留置することはできない。

【用語 造作買取請求権】
造作とは畳や建具のことである。これらを家主に許諾により取り付けた賃借人は借地借家法により造作買取請求権をもつ。しかし、本来建物と造作はそれぞれ独立しており、造作そのものを留置できても建物全体を留置することはできない。

【コラム 有益費と留置権】
賃貸借契約など正当な権原のある期間にしたことにおいて有益費が発生する場合、その不動産を留置することができる。賃貸借契約終了後に有益費を拠出した場合にはそれにより留置権を主張できない。不法行為により発生した債権を担保するために留置することは認められない。

留置権と消滅時効


→目的物を留置しても、その被担保債権の時効が進行しないわけではない。質権にも同じことをいえる。
→ただし、訴訟において留置権を主張した場合、被担保債権は裁判後6か月は時効が完成猶予される。

民法196条と留置権


→占有者が果実を取得した場合は通常の必要費は負担しなければならない。留置占有においても同じであり、通常果実は債権の弁済にあてられるわけで、留置権者が負担する。
→悪意の占有者でも当然有益費は償還しなければならないが、回復者の請求により、期限の許与が可能である。留置占有もこれの一種であるため、期限の許与が可能である。

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